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一話 ページ2

真っ暗な部屋……


いや、牢屋と言うべきだろうか。



そこは簡易的な布団や敷物、小さい机の上には水の入った桶が置いているだけで酷く汚れている。


小さな空気穴の様なところからは心細い月の光がその牢屋に入っているある人物を照らしていた。


暗い牢屋に溶けていくような、漆黒とも呼べるほどに綺麗な黒く長い髪の隙間からは赤色の混じった黒目が覗く。


額の左側には小さな一本のツノが生えており、薄く開いている唇から見える犬歯や目の鋭い瞳孔は人の物ではない。



貴「…………」



そんな少女がここにいるその訳は、


数週間前を遡る__________





紅葉の落ち葉を踏みしめて先へ先へと足を進める。
その小さな小さな手の中には水と食料、布が収まっていた。



貴「(こんなにもらってしまった…)」



山の中に母、父、姉と平凡ながらも幸せな生活をしているこの少女は、山のふもとにある村の人達から貰った物を見てそう思った。


裕福ではない為あまりお金は使えないが、無口でも優しいAには村の人達も甘いようで、いつも何かをもらってきてしまう。


真っ赤に染まる赤い紅葉の道を使い古した草履でゆっくりと歩いて行く。



貴「(まぁでも…今日は少しだけ贅沢をしようかな。みんな……喜ぶかな。)」



もらったものを見つめて口は微動だにしないが、目を細める。

この平凡な日々が、日常がAには幸せだった。


森でとった薬草を潰し、刻んで薬を作り、少しだけのお金で山を降りて少しの食料や水を買って家に戻り家族と共に食事をとる。


決して裕福とは言えないが、それでも幸せな日々だった。



だが、幸せはやはり長くは続かない。

幸せは当たり前の様に一瞬で散る。




こんな事なら幸せになどなるべきものではなかった。と、
そうAが思う事になるのは、その数時間後だった。








貴「っ……っ…!?」



上手く、声が発せなかった。

村の人達から貰ったものは地面に落としてしまったがそんな事は気にしていられなかった。


鼻が良くなくとも鼻を刺激する強い鉄の匂い。

耳が良くなくとも鼓膜に伝わるぐちゃぐちゃという不快な音。


その感覚だけでも、脳を異常と判断させるには十分すぎるものだった。


Aの目の前で、家族がある人物に食われているのが目に入った。

それはAが幼い頃から尊敬し、背中を見てきた女性。



貴「姉さん?」



姉「あが…う゛うぅう゛………」



実の姉が、人ならざる者の姿をしていた。

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むぃろ(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!修正しました! (2020年10月6日 12時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 十話の所ですが、はが一つ多い所があります。 (2020年10月5日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» わかります!甘いもの好きなのに外行かなくて運動不足になりますし、カラオケに行く予定だったのにコロナのせいで行けなくなりました…早く夏になって死滅してくれれば嬉しいんですけどね(´;ω;`) (2020年3月3日 18時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 食べれましたね!私は外出できないので太りそうです( ;∀;)極度の甘党なので (2020年3月3日 16時) (レス) id: f69b55532e (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» うわ…それは大変ですね!ワーク終わらせたんですか!?完全に存在を忘れていました…(−_−;)明日から投稿ペース下がったらすみませんww (2020年2月29日 23時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぃろ | 作成日時:2020年2月1日 18時

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