初心者ちゃん、4Kスコープ使いです。 (ページ4)

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第三話　チームと個人の境界線ページ4

？「……ねぇ、何してるの？」

　静まり返ったロビーに1人の声が響いた。

　すぐさま声のした方を振り返ると、ブルーグリーンのゲソに特徴的なキャップ、片手には……4Kスコープを持ったイカがこちらをじっと見つめていた。

　そう、そのイカは……

『シェーディ……さん……！』

リ「はぁ！？あんたには関係ないわ、どっか行って！こっちのチームの話なんだから！」

　この言動から推測するに、リーダー達はシェーディさんのことを全く知らないのだろう。

　すると、シェーディさんは少しの間、4Kスコープを担いでしゃがみ込んでいる私を見て、少し顔をしかめてからこういった。

シェ「"どっか行って"って……オレ、ここに用があるんだけど……」

リ妹「お姉ちゃんの言うこと聞いて〜！」

シェ「——無理……かな」

　もう耐えられなくなったのか、リーダーと妹が、一歩前に出る。そして——

リ「いちいちムカつくんだよッ！！」

　……拳を振りかざし、シェーディさんを殴ろうとしたのだ。

『シェーディさんっ！』

　これは流石に予想していなかったのか、シェーディさんは驚いた顔をして一歩後ずさる。

　このままだとバーミリオンチームに全く関係がない、シェーディさんが巻き込まれちゃう。

『ッ！』

　怖くなって目を瞑る。

　……が、いつまで経っても痛々しい音は聞こえてこない。

　恐る恐る目を開けてみると、アナアキ君が拳をギリギリで受け止めていたのだ。

　リーダーは目を大きく見開いて、怒りの対象をアナアキ君に変える。

リ「はぁ！？何なのよアナアキ！心まで穴空いてるくせに！」

　怒鳴られても、リーダーの拳を受け止めたままだ。それどころか、あの無口なアナアキ君が、弱々しいとはいえ、言葉を発したのだ。

ア「……だ……だめ……！お願い……やめて……」

　それに驚き、リーダーは咄嗟に腕を引っ込める。

　そしてしばらくアナアキ君を睨んで、地団駄をふみながらいう。

リ「あぁぁあ！もうっ！！どうしてこうも上手くいかないのよ！！」

　それを聞き、シェーディさんが応える。

シェ「チームと個人は……違うから」

　リーダーは、悔しがりながら、リーダーは捨て台詞を吐いた。

リ「はいはい！ A、アナアキ！覚えておきなさい！許さないから！」

リ妹「あ！まってよお姉ちゃん〜！」

　そして、ドスドス足音をロビーに響かせながら、どこかへ行ってしまった。