泡沫の記憶【爆豪勝己】 (ページ6)

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｢テメェもう行くんか｣

誰も起こさないように歩いていたつもりだったが、リビングのソファで寝ていた爆豪くんを起こしてしまったようだ。

個性で気配を消しておけばよ良かった、と少し申し訳なく思う。

｢うん、もう家の鍵空いてると思うから帰るね。

起こしちゃってごめんね、服はまた洗って返すよ。

本当に色々、ありがとう｣

そう言って頭を下げると彼は暫しの沈黙の後、おぉ、とだけ返して見送ってくれた。

否、私が開けた玄関の戸締りをする為だけに見送っていたのかもしれない。

外に出ると空気は少し湿っていた。

「ホットミルク、美味しかったなぁ」

ふと思い出したそれに、思いを馳せた。

まもなく日が昇るであろう東の空に背を向けて自分の家へと向かう。

母とは顔を合わせたくないので彼女が起きる前には家を出よう、なんて考えながら歩いていた。

いつもより息が、し易い気がした。

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