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彼のお母さんに促されて座ったソファに、爆豪くんもドカッと座る。
彼のものだから当たり前なのだが、お揃いのようなパーカーを着ているとなんだか落ち着かない。
「………」
何を話せばいいのか分からず、沈黙が続く。
そうしていると、両手にマグカップを持った爆豪くんのお母さんが来て、机に暖かそうな飲みものを置いてくれた。
「ホットミルク、身体あったまるよ」
「ホットミルク…？」
暖かい牛乳、英語の意味はわかるが、そんなもの飲んだことがない。
恐る恐る飲んでみると、口いっぱいに温かくて甘いミルクの味が広がった。
「………甘い」
「フフ、蜂蜜入れてるからそりゃ甘いよ。美味しそうに飲むね」
「……初めて飲みました。こんな美味しいの」
そう言うとまたふっと笑って、勝己が昔好きだったからね、と言った。
「そういやまだ名前聞いてない。勝己と同じクラス？」
「あ、えっとAA、です。爆豪くんと同じA組です」
「そっか、Aちゃん。
なんであんなに濡れてたのか聞いてもいい？それに、ちゃんとご飯食べてる？」
「………んと……色々、あって…」
そんなに鋭く聞かれてしまうとなんと言えばいいのか分からず、言葉が詰まってしまう。
「でも大丈夫です、いつものことなので」
そう言って笑えば困ったように笑い返してくれた。
「そっか、深くは聞かないけどなんかあれば頼ってくれていいから」
まただ。
どうして私に優しくしてくれるのだろう。
「なんで、ここまでしてくれるんですか」
そう尋ねるとキョトンとして言った。
「そりゃ、あんなずぶ濡れの子ほっとけないよ。
それに勝己が人連れてくるなんてないしさ、まして女の子なんて初めて。
勝己が連れてきたってことは怪しい人でもないだろうしね」
そう言ってまた笑った。
やっぱり、分からない。
その後結局、夕飯まで食べさせてもらった。頑なに断ったつもりだったが、それ以上に押し切られてしまった。
爆豪くんも終始私の横でご飯を食べたり、スマホをいじったりしていた。
「Aちゃんどうせだったら泊まってく？
今日夫が帰らないから、寝室も空いてるし…」
「あんな加齢臭まみれの部屋貸すンじゃねぇよ」
「それもそっか、じゃああんたの部屋貸す？
今日会ったばっかのおばさんよりマシじゃない？」
「あ、いえ、お気遣いなく…」
なんて、言い合う2人には届かない。
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作者名：コルネイユ | 作成日時：2023年3月4日 16時
