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長い廊下を歩き、城の外に出る。大きな門の前に一台の馬車が用意されていた。二匹の馬が引く大きめのキャリッジで、黒く塗装された本体の扉や窓の
｢あ、Aちゃん馬車見るん初めて？｣
｢いえ......ただこんなに綺麗な馬車は、初めてです｣
｢あー、せやんなぁ。平民のんは芋でも載せとんかってツッコミとぉなる見た目やしな｣
にこやかなまま嘲るように言った鬱さんは、きっと高位の貴族なのだろう。そんな彼に馬車までエスコートされ、背筋が伸びる。
私達が来るのを待っていたのだろうか、既に開かれた扉に続く階段を上る。少し丈の長いスカートにつまづきそうになると、後ろから鬱さんが支えてくれた。ショッピさんは御者さんに二言三言告げた後、階段を外して折り畳み、私の隣に座る鬱さんに手渡した。車輪が大きいので地面から馬車まではかなり高いはずだがそんな高さはものともせず軽々と飛び乗り扉を閉め、向かい側に座った。
｢あ、どうせやったらAちゃんの方のカーテンも開けよか｣
そう言った鬱さんは私の方に身を乗り出して窓のカーテンを開ける。そしてそのまま私の太ももに手を置き、揺れるから支えといたるな、と言った彼に戸惑いながらも頷いた。
この城は高地に位置しており、街のある方向以外は周囲を黒い森が囲んでいる。唯一石畳で舗装された道が延びている方向に馬車が進んでいく。少し下り坂になっているためか、思ったよりスピードが速くて移り変わる景色を見るのが楽しい。
馬の蹄と車輪の音だけが響く静かな車内で、窓の外を眺めていると鬱さんが話し掛けてくれる。
｢Aちゃんはどんな服が好きなん？｣
｢え、と....いつも、同じ様な服しか来てなかったので...好みとかは、わからないです｣
｢ふぅん.....じゃあ僕が可愛ええやつ選んだるよ｣
ちら、と彼の方を向くと鬱さんは声音こそ楽しそうに弾んでいるが、どこか冷めたような目をしていることに気付く。初めて会ったときにショッピさんが言っていたが彼は女の人に慣れているようなので、全てが新鮮な私と違いきっと何度も似たような経験をしているんだろうな、と推察した。
そのショッピさんは向かいの席で窓枠にもたれかかり、気だるげに外を眺めながら紫煙を吐き出していた。
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コルネイユ(プロフ) - 塩田さん» 塩田さん初めまして、コメント頂き有難うございます。前作も読んで頂き、その様なお言葉も頂けて作者冥利に尽きます...本当に嬉しく思います🥰塩田さんのような読者の方がいて下さるお陰で頑張ることが出来ています、今後も作品共々宜しくお願い致します...！ (2023年3月14日 19時) (
レス) id: 4edc66b9fe (このIDを非表示/違反報告)
塩田(プロフ) - コルネイユさん、こんばんは。この作品、更新される度にじっくり大切に読むくらい大好きだったので、また公開してくれて凄く嬉しいです😭 これからも頑張ってください…！ (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 9daab44624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コルネイユ | 作成日時：2023年3月7日 14時
