冷たいルビー ページ45
.
｢あﾞ｣
トントンさんのその顔を捉えた途端シャオロンさんの顔が青ざめていく。
｢まぁたサボりおって...いい加減にしてくれませんかねぇ？その子来てからお前の書類だけどんだけ遅れとるか分かっとんか｣
｢い、いやぁすいませんねトントンさん、今日は出すんで！！｣
｢はぁ？昨日も一昨日もそれ聞いたで......今日出んかったらいい加減缶詰めも考えるからな。これは明後日まで｣
｢うげ......缶詰めは勘弁してやぁ｣
トントンさんは般若のような顔をして新しい書類をシャオロンさんに押し付ける。そしてちら、と私を横目に見て口を開く。
｢あんたもここにおったんか、医務室訪ねておらんかったから探しましたよ｣
｢ぁ......すみません、｣
｢ペ神に確認してもう医務室篭り切りやなくてもなくてもええみたいなので君の部屋案内しますわ｣
｢わ、かりました、有難うございます｣
｢えー！なんそれ！おれも行きたいんやけど｣
｢お前ははよ書類終わらせろや｣
身を乗り出すシャオロンさんを軽くあしらいながらトントンさんは歩き出す。そんな彼の私を見る目が少し冷たい気がして背筋が伸びる。
｢んﾞん.......じゃあまたなぁA......｣
名残惜しそうに扉に手をかけ顔を覗かせるシャオロンさんにはい、と返し、既に先を歩くトントンさんの後を追う。
｢............｣
｢............｣
シャオロンさんのときと違い、お互いに何を話すことも無く沈黙が続く。気を遣わせて話してもらうよりかは随分楽だ。
暫く歩くとシャオロンさんの部屋と同じような装飾の扉の前で立ち止まった。彼と同じ階の一番端の部屋だ。
｢ここやで。隣はチーノ、向かいは空き部屋｣
｢ぇ...こんなに広い部屋、いいんですか｣
｢あー、まぁ普通に考えて異例の待遇やで。グルッペンの意向やから従うけど｣
｢......有難い限り、です｣
扉の開かれた部屋に足を踏み入れると空き部屋だったとは信じ難いほど綺麗な状態だった。
照明は会議室よりかは小さいシャンデリアだが、部屋の広さには十分な大きさで明るく部屋を照らしている。天蓋に繊細なレースの付いた大きなベッドと見晴らしの良い窓、ソファと低いテーブルの他に、ベッドサイドに作業用の机と椅子、簡易照明も置かれている。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
コルネイユ(プロフ) - 塩田さん» 塩田さん初めまして、コメント頂き有難うございます。前作も読んで頂き、その様なお言葉も頂けて作者冥利に尽きます...本当に嬉しく思います🥰塩田さんのような読者の方がいて下さるお陰で頑張ることが出来ています、今後も作品共々宜しくお願い致します...！ (2023年3月14日 19時) (
レス) id: 4edc66b9fe (このIDを非表示/違反報告)
塩田(プロフ) - コルネイユさん、こんばんは。この作品、更新される度にじっくり大切に読むくらい大好きだったので、また公開してくれて凄く嬉しいです😭 これからも頑張ってください…！ (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 9daab44624 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：コルネイユ | 作成日時：2023年3月7日 14時
