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テーブルに戻るとシャオロンさんがむす、として皿の上のマカロンを転がしていた。ちら、と私とオスマンさんを一瞥すると転がしていたシトロンのマカロンを口に投げ入れた。それを咀嚼して飲み込むと背もたれに体重をかけ天を仰ぎ、ぽつりと呟く。
｢.........あかんわ｣
｢......？｣
｢気にせんでええよ、Aちゃん｣
その言葉が何を意味しているのか気になったが、オスマンさんにそう言われ尋ねることは出来なかった。
椅子に座ってショートケーキの上に乗る生クリームのついた苺を口に運ぶ。やはり甘いその味にずっと囚われてしまいそうで、その手を進めることを躊躇ってしまう。それを見計らったかのようにオスマンさんがテーブル越しに乳白色のマカロンを私の口元に運んだ。
｢甘いの好きやろ？たんと食べてな｣
にこ、と笑ってそれを唇に押し付けるオスマンさん。
｢ん......｣
｢甘くて美味しいやろ、バニラやで｣
仕方なく一口齧ったマカロンからふわ、とバニラの香りが鼻腔をくすぐる。ショートケーキとはまた違う、少し香ばしい甘さのマカロンもとても美味しい。
｢......おいしい、です｣
残った齧りかけのマカロンをぺろりと平らげたオスマンさんは満足そうに笑った。ふと隣を見ると、目元に前髪の影が落ちたシャオロンさんが顎を引き、じと、とオスマンさんを見ていた。
自分に視線を向けられている訳では無いのに、ぞわ、と背筋に寒気が走った。その視線を気に止める様子もなく、オスマンさんはクッキーに手を伸ばし、口を開く。
｢ほんまはAちゃんにケーキ全部食べて欲しいけど、キツそうやしシャオロン食べたったら？｣
｢...............｣
暫く沈黙した後ふっ、とオスマンさんから視線を外して、私の前のショートケーキに目をやる。
｢.......たべよか？｣
｢ぁ......お、お願い、します｣
｢ん｣
そう言ってくれたシャオロンさんにぺこりと頭を下げ、お皿を移動させた。ぱくぱくと食べ終えたシャオロンさんはあま、と呟いた後私の腕を掴み席を立った。
｢.....っわ｣
｢じゃ、ごちそーさん｣
｢......ん、また来てなAちゃん｣
背を向けてずんずんと進むシャオロンさんに半ば引き摺られるようにして足を動かす。オスマンさんにぺこ、と軽く頭を下げると彼はまたいつものように笑って手を振ってくれた。去り際にぼそ、とオスマンさんの声が聞こえた気がした。
｢.........想像以上に甘い蜜やなぁ｣
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コルネイユ(プロフ) - 塩田さん» 塩田さん初めまして、コメント頂き有難うございます。前作も読んで頂き、その様なお言葉も頂けて作者冥利に尽きます...本当に嬉しく思います🥰塩田さんのような読者の方がいて下さるお陰で頑張ることが出来ています、今後も作品共々宜しくお願い致します...！ (2023年3月14日 19時) (
レス) id: 4edc66b9fe (このIDを非表示/違反報告)
塩田(プロフ) - コルネイユさん、こんばんは。この作品、更新される度にじっくり大切に読むくらい大好きだったので、また公開してくれて凄く嬉しいです😭 これからも頑張ってください…！ (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 9daab44624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コルネイユ | 作成日時：2023年3月7日 14時
