絵画の茶会 ページ40
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｢Aちゃんは食べへんの？｣
｢ぇ...あ......頂きます｣
これはどういう状況なのだろう。ここに来て数日が経ち、少し歩けるようになった私はシャオロンさんに手を引かれ、オスマンさんのお茶会に招待された。
2階の渡り廊下に隣接したテラスにはお洒落で可愛らしいイングリッシュガーデンが広がっており、背の低い石壁の囲いの外からは中庭が見渡せる。
水遣りを終えたあとなのだろうか、硝子で覆われた天井越しの陽の光がハーブや薔薇に乗った雫を照らし、ロゼット咲きやカップ咲きの入り混じる真っ赤なモダンローズが麗しく芳香を漂わせている。
テーブルの上には英国調のアフタヌーンティースタンドに様々なお菓子が並び、同じく英国調のティーセットには茜色の紅茶が淹れられ、揺れる表面が時折光を反射する。
絵本に出てくるようなその光景に、言葉を失っているとオスマンさんがマカロン片手に私を覗き込み、不思議そうにそう尋ねた。その様子さえも絵に描いたようで、見蕩れてしまう。隣に座ったシャオロンさんも美味しそうにアップルパイを頬張っている。
おずおずと目の前のお皿に乗った苺のショートケーキをフォークで一口取って口に運ぶ。初めて食べたその上品な甘さに目を見開いた。
｢うん、お気に召したようで良かっためぅ｣
｢A、めっちゃ美味しそうに食べるんやなぁ｣
その味を堪能していると正面のオスマンさんは私を見て柔らかく微笑み、シャオロンさんは私の頬をつつく。
｢すごく甘くて美味しいです……初めて食べました。こんなに素敵なもの｣
｢まぁ、せやろなぁ。ここ来たら何時でも出したるで｣
もう一口ケーキを食べて、紅茶を飲んだ。ケーキの甘さと馴染むほろ苦い風味が鼻を抜ける。
｢Aちゃんは花好きなん？さっきよう見入っとったけど｣
｢あ……好き、というか…綺麗だな、と思います。本でしか見たことがなかったので、見蕩れてしまいました｣
｢ほんま？丹精込めて手入れしとるからそう言って貰えて嬉しいわ｣
｢……オスマンさんが手入れされてるんですね｣
｢うん、せやで。可愛いものを管理するのが趣味やねん.....あ、ティーセットもこだわりあるんやで｣
そう言ったオスマンさんは深緑の瞳を細めて席を立ち、そのまま流れるような動作で私の手を取って立たせる。
｢どうせやったら近くでみてほしいめぅ｣
物語に出てくる王子様のように、美しく手入れされたハーブや薔薇の元へ私をエスコートする。
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コルネイユ(プロフ) - 塩田さん» 塩田さん初めまして、コメント頂き有難うございます。前作も読んで頂き、その様なお言葉も頂けて作者冥利に尽きます...本当に嬉しく思います🥰塩田さんのような読者の方がいて下さるお陰で頑張ることが出来ています、今後も作品共々宜しくお願い致します...！ (2023年3月14日 19時) (
レス) id: 4edc66b9fe (このIDを非表示/違反報告)
塩田(プロフ) - コルネイユさん、こんばんは。この作品、更新される度にじっくり大切に読むくらい大好きだったので、また公開してくれて凄く嬉しいです😭 これからも頑張ってください…！ (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 9daab44624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コルネイユ | 作成日時：2023年3月7日 14時
