執心の哀願 ページ36
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｢ペ神〜Aは？｣
勢いよく医務室の扉を開き、そう尋ねた無邪気な男は夕食を運んできた。
｢シャオロンか、今寝とるから静かにして｣
｢えぇ〜また寝とん？｣
落胆した様子を見せたシャオロンは静かにAが寝ているベッドに近付いた。脇の机にコト、と盆を置くとAの髪に手を伸ばし前髪で隠れていたその顔をまじまじと眺める。
｢はぇー｣
少女のあどけない寝顔を見たシャオロンは、ぱちぱちと瞬きを繰り返した。これほどまでに穢れのない無垢な人間を見たことがなかった為、経験したことの無い不思議な心地になった。
｢......ペ神、Aから酒の匂いすんねんけど｣
ふと鼻腔をくすぐる酒精の香りにぴく、と反応したシャオロンは不機嫌に顔を歪ませた。飲ませたん？と聞いたその男は並外れた嗅覚を持ち合わせている。
｢よう分かるなぁ。枢機卿様の指示やで、文句ならオスマンに言いや？｣
｢は〜、アイツ......何のために飲ませたん｣
｢家族の話。オスマンまだ少し疑っとったみたいやし｣
｢あー、なるほどなぁ。それおれも聞きたかってんけど｣
｢ロボロんとこで調書でも見たら？｣
むす、とした様子のシャオロンを見てしんぺい神は溜め息をついた。
｢執着すんのも程々にせんと、Aちゃん壊れんで｣
｢は？執着...？してへんやろおれが拾ったからおれが面倒見てるだけやん｣
低く唸ったその男もまた、愛を知らなかった。どろどろとした欲を瞳に映し、無自覚に愛を求める男の様子に、神の名をもつ男は目を伏せた。
｢......せやなぁ｣
シャオロンの生い立ちを知るしんぺい神は、その執着を咎めることが出来なかった。
暫く時間が過ぎ、しんぺい神がベッドに目をやると二人が仲睦まじく寝息を立てていることに気付く。
ぎゅ、と少女の手を握りしめて目を閉じる男も少女よろしく無垢な寝顔で、事情を知らない人はその光景を見て仲の良い兄妹だと微笑ましく思うだろう。
何とも言えない気持ちで二人を見ていたしんぺい神は何を言うこともなく、椅子を回して再び執務に取り掛かった。
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コルネイユ(プロフ) - 塩田さん» 塩田さん初めまして、コメント頂き有難うございます。前作も読んで頂き、その様なお言葉も頂けて作者冥利に尽きます...本当に嬉しく思います🥰塩田さんのような読者の方がいて下さるお陰で頑張ることが出来ています、今後も作品共々宜しくお願い致します...！ (2023年3月14日 19時) (
レス) id: 4edc66b9fe (このIDを非表示/違反報告)
塩田(プロフ) - コルネイユさん、こんばんは。この作品、更新される度にじっくり大切に読むくらい大好きだったので、また公開してくれて凄く嬉しいです😭 これからも頑張ってください…！ (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 9daab44624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コルネイユ | 作成日時：2023年3月7日 14時
