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｢んふふ、俺のために泣いてくれるん｣
分からない、けど、きっとそうだ。
初めての感情は、知らない方が良かった。こんなに苦しいなら、泣けないままの方が良かった。
そんな思いを神様は見透かしたのだろうか。どこか、慈しむような目でわたしを見るから、その淡い瞳に魅入られる。
｢これからきっと、色んな苦しい感情をAちゃんは知ってくんやで｣
わたしの頬に冷たい手を当てて、そんなことを言った。
そんな嫌なことを言わないで。そう思ったけど、神様の綺麗な顔が近付いてきて、私と唇を合わせたものだから、そんな言葉も発せなかった。
恥ずかしいのと、さっきと少し違う苦しさが私を襲う。柔らかく、唇が蝕まれる度に、こんな綺麗な神様とこんなことをしている背徳感に心を苛まれた。だと言うのに私の心はやめて欲しくなくて、拒むことが出来ない。その矛盾に、もっと胸が苦しくなった。
ゆっくりと唇を離したしんぺいさんの細い手が、私の目元を優しく拭った。
｢っふふ、さっき泣き方知ったばっかやのに、止まらへんね｣
｢.......わたしのこころが、たくさんあって、矛盾して、こんなにくるしいのに、やめて欲しくなくて、どうすればいいのか、おしえてください｣
そういうとしんぺいさんは長い睫毛を伏せ、そしてもう一度私の目を見て諭すように言った。
｢拒まんと、身を任せればええんやで｣
そう言ったしんぺいさんは、少しだけつらそうな表情をしていた気がしたけどそれも一瞬で、すぐにいつもの優しい笑顔に戻っていた。
｢でも、あんま他の奴らにそういうこと言ったらあかんよ｣
｢なんでですか？｣
｢んー、ほら、欲望って歯止め効かへんし｣
そう答えたしんぺいさんの意味するところはよく分からなかったけど、彼がふわ、と笑ったので何も気にならなくなってしまった。
そう思うと同時に、抗えない眠気がわたしを襲った。それに気付いたしんぺいさんは私をベッドに倒してくれ、大丈夫やからな、と優しく言った。その言葉に酷く安心し、ゆっくり瞼を落とした。
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コルネイユ(プロフ) - 塩田さん» 塩田さん初めまして、コメント頂き有難うございます。前作も読んで頂き、その様なお言葉も頂けて作者冥利に尽きます...本当に嬉しく思います🥰塩田さんのような読者の方がいて下さるお陰で頑張ることが出来ています、今後も作品共々宜しくお願い致します...！ (2023年3月14日 19時) (
レス) id: 4edc66b9fe (このIDを非表示/違反報告)
塩田(プロフ) - コルネイユさん、こんばんは。この作品、更新される度にじっくり大切に読むくらい大好きだったので、また公開してくれて凄く嬉しいです😭 これからも頑張ってください…！ (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 9daab44624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コルネイユ | 作成日時：2023年3月7日 14時
