異端者と神様 ページ30
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顔に何かが触れる感覚に、奥底に沈んだ意識が薄ぼんやりと浮上する。目を開けると白んだ視界の中で神様が私の頬に手を当てていた。
｢かみ、さま....？｣
｢目ぇ覚めたんやな。おはよう｣
霞んでいた意識が段々と明瞭になる。そこに居たのは基督の神よりもずっと人の心を魅了する美しい神様だった。
｢しんぺいさん｣
｢ん。なんで会議室行くだけやのに傷が増えとんのかねぇ｣
どうやら彼はゾムさんに切られた傷を手当してくれたようだ。薄いガーゼ越しに頬を撫でるしんぺいさんの優しさに浸ってしまいたくなった。
｢足首も悪化しとったで。シャオロンにも言っとくから暫くは歩いたらあかんよ｣
｢はい......わかりました｣
｢あ、ちょっと待っとってな｣
そう言ったしんぺいさんはいつも座っている奥の方へ行くと、マグカップを一つ手にして戻ってきた。ベッドを囲むカーテンを閉め、ベッド脇の椅子に座る。
｢ホットミルク。さっきメイドさんが持ってきてくれたから温かいうちに飲み｣
｢あ、ありがとうございます｣
差し出されたマグカップを左手で受け取って覗くと、ミルクがたぷんと可愛らしい音を立てて揺れた。温かい湯気と甘い香りに頬が緩む。
｢頂きます｣
息をかけて少し冷まして口に含む。温かい甘さが口内に広がり、ゆっくりと嚥下すると身体の芯からじんわりとその熱が伝播していった。
｢....あまい｣
｢うん、ちょっと喉痛めてるみたいやったからメイドさんに言って蜂蜜たっぷり入れてもらったんやで。火傷はせんといてな｣
｢.........すごく、おいしいです｣
生まれて初めての美味しさと温かさに、じんわりと視界が滲んだ。それに気付いてかは分からないが、しんぺいさんが優しく頭を撫でてくれる。
｢な、飲みながらでええからAちゃんの話、教えてくれへん？｣
｢......わたしの話、ですか｣
｢うん、この前全部は教えてくれへんかったやろ｣
私の話といっても、何も特別なことはないので話すことに躊躇いなどはなかった。なのにしんぺいさんが優しく聞いてくれるものだから少し申し訳なくなる。
｢何も、特別な話はありません。聞いても楽しくないと思いますが......｣
｢それでもええからさ｣
｢......わかりました｣
少し、長くなってもいいですかと聞くと、彼は全部教えて、と言ってくれた。
あまり鮮明でない記憶を辿りながら、ゆっくりと口を開く。
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コルネイユ(プロフ) - 塩田さん» 塩田さん初めまして、コメント頂き有難うございます。前作も読んで頂き、その様なお言葉も頂けて作者冥利に尽きます...本当に嬉しく思います🥰塩田さんのような読者の方がいて下さるお陰で頑張ることが出来ています、今後も作品共々宜しくお願い致します...！ (2023年3月14日 19時) (
レス) id: 4edc66b9fe (このIDを非表示/違反報告)
塩田(プロフ) - コルネイユさん、こんばんは。この作品、更新される度にじっくり大切に読むくらい大好きだったので、また公開してくれて凄く嬉しいです😭 これからも頑張ってください…！ (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 9daab44624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コルネイユ | 作成日時：2023年3月7日 14時
