収攬の好餌 ページ25
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｢お前、めっちゃ血ぃ似合うな｣
｢......え｣
前髪の隙間から覗いた黄緑色の瞳と視線が絡んだ。一瞬だけ見えたその瞳は獲物を捉えた爬虫類のように細められていた。
｢な、もっかい見せてぇや｣
｢......い、痛いのは｣
｢折角綺麗に切ったんにシャオロンが舐めてまうから｣
嫌です、と否定の言葉を発する前に被せられてしまった。
いつの間にか彼の手にはさっきと同じナイフが握られている。シャオロンさんは彼を止めてくれる様子はなく、私の首元に鼻を寄せすんすん、と匂いを嗅いでいる。それにも困惑するが、気付けば目の前で口角を上げている彼は既に私の頬に刃を当てていた。
｢ぁ......｣
｢んふふ、かわえ、な、ええよな、き、切ってええよな｣
吃り気味にそう言う彼は明らかに興奮を抑えられていない。見えないはずの視線に捉えられ、掠れた声が漏れた。
｢ゾムやめとき｣
｢あ？なんやトントン｣
視界の端に赤色が写ったと思うと、私の頬からナイフが離される。無意識に呼吸が止まっていたようだが、その解放感で肺が酸素を大きく吸い込んだ。
｢...っはぁ......は｣
｢さっきのは確認やから黙認しましたよ？けどこれはあかんやろ｣
明らかに機嫌を損ねたゾムさんはトントンさんに向かって低く唸っていた。
｢あ、有難う御座います｣
｢ん？あぁ、ええよ。幹部が国民に手ぇ出して困るんはこっちなんで｣
トントンさんはそう言ってもう一度ゾムさんに視線を戻し念押しして去っていった。
｢トントンも頭堅いわ。俺が切ったところでバレへんやろ元が傷だらけなんやし｣
ボソ、と私だけに聞こえるような音量で呟いた彼の冷たい視線が私を襲う。ナイフをクルクルと回して腰のナイフケースに仕舞うとゾムさんは円卓から飛び降りると私の頭をポンポンと叩き、またな、と言って何処かへ消えていった。呟かれた言葉が頭を離れず、今になって寒気がした。
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収攬【しゅうらん】
好餌【こうじ】
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コルネイユ(プロフ) - 塩田さん» 塩田さん初めまして、コメント頂き有難うございます。前作も読んで頂き、その様なお言葉も頂けて作者冥利に尽きます...本当に嬉しく思います🥰塩田さんのような読者の方がいて下さるお陰で頑張ることが出来ています、今後も作品共々宜しくお願い致します...！ (2023年3月14日 19時) (
レス) id: 4edc66b9fe (このIDを非表示/違反報告)
塩田(プロフ) - コルネイユさん、こんばんは。この作品、更新される度にじっくり大切に読むくらい大好きだったので、また公開してくれて凄く嬉しいです😭 これからも頑張ってください…！ (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 9daab44624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コルネイユ | 作成日時：2023年3月7日 14時
