五歳児の問答 ページ20
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統一された装飾で彩られた壮麗な会議室。大きな円卓の中央の繊細な彫刻が施された燭台。それらを囲むように腰を据える彼等。
私だけが異質のように思える空間だが、目の前に腰を据えた圧倒的な美貌を持つ、そして誰よりも威厳を放つ人物の空気に呑まれてしまえば、そんなことは気にならなかった。
｢Aと申します。昨夜、路地裏で倒れていたところをシャオロン様と鬱様に助けて頂き、その後しんぺい神様に手当をして頂きました。身に余る厚恩に感謝致します｣
真っ直ぐに私も見据える紅蓮の瞳を見つめ、もう一度深く頭を下げる。
｢ふむ。礼儀はなっているようだな。顔を上げろ｣
ゆっくりと上体を起こせば、彼は先より少し口元を緩めていた。
｢まぁわざわざこうやって会議を開いたわけではあるが、正直そんな形式美はどうだっていい。今ここで行われるのは複数人の議論ではなく俺とお前の対話だからな｣
饒舌に語る総統閣下はどこか愉しげに喉を鳴らした。
｢クク、まあそう怯えるな。対話の結果がどうであろうと今すぐ怪我人を追い出す様な愚劣な真似はしないからな。ただ今は純粋に互いの言論を楽しもうじゃないか｣
無意識のうちに怯えていたのだろうか。たが仮にそうだとしても楽しそうに笑っている総統閣下を見て、少し肩の力が抜けた気がした。
｢ではまず、君は神を信じているか？｣
｢神、ですか......私は無神論者とはまた異なりますが、神を信仰するに足る恩恵を、自覚したことはございません｣
｢.....成程。では君の家族も同じ思想か？｣
｢......いえ。両親共に信心深い基督教徒です｣
｢両親は君に何と諭す｣
｢諭されたことはございません。只々、私の容姿と存在を忌避し、私のことを“神に見捨てられた子”と呼称しているところを耳にしたことがあります｣
｢君は自分でもそう思うか？｣
｢.........分かりません。今まで生きてきた中で、見捨てられたと思ってしまうような扱いしか受けたことがありませんでした。彼等の説く神とは、全ての生命に平等な愛を注ぐ存在でした。しかしそれは起こりえなかったのです｣
｢なるほど。つまり君は否定は出来ないが肯定するにはあまりに現状がかけ離れている。だから分からない。なるほどな｣
クツクツと喉を鳴らした総統閣下は満足そうに口角を上げた。
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コルネイユ(プロフ) - 塩田さん» 塩田さん初めまして、コメント頂き有難うございます。前作も読んで頂き、その様なお言葉も頂けて作者冥利に尽きます...本当に嬉しく思います🥰塩田さんのような読者の方がいて下さるお陰で頑張ることが出来ています、今後も作品共々宜しくお願い致します...！ (2023年3月14日 19時) (
レス) id: 4edc66b9fe (このIDを非表示/違反報告)
塩田(プロフ) - コルネイユさん、こんばんは。この作品、更新される度にじっくり大切に読むくらい大好きだったので、また公開してくれて凄く嬉しいです😭 これからも頑張ってください…！ (2023年3月14日 0時) (レス) @page40 id: 9daab44624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コルネイユ | 作成日時：2023年3月7日 14時
