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私が見ていられたのはそこまでだった。目の前の状況が信じられなかった。私はなりふり構わず泣いていた。
何もできなかった。本当に苦しかった。炎が私の体を舐めている。それならいっそ殺してくれればいいのに、私は死ねなかった。
燃え盛る炎の中で、私は意識を失った。
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薄く目を開けた。医務室の天井だった。
「目が覚めたか」
私のベッドの横に、誰かが立っていた。それは大きな黒い影で、声色は何故だか私を誘うようで。
『教授、なんか死神みたいですね』
ス「第一声がそれかね」
スネイプ教授はため息をついた。眉間にはしわが濃く刻まれている。
いつものことだっけ。
ス「言っただろう、クィレルに近づくなと」
『近づけませんでしたね』
私は肩を竦めた。
ス「お前があの部屋を抜けられなかったのは、私が呪いを掛けていたからだ」
『私、随分と信用されてませんね』
ス「ダンブルドア校長のお達しだ」
私は天井を見つめながら教授と会話した。
『どうしてあなたがここにいるんですか』
ス「我輩がお前を連れ帰ってきたのだ」
教授は冷たく言った。私は首を傾げる。
ス「校長がいないと聞いて、お前は恐らくあの部屋に行こうとするだろうと思った。だから呼んでおいて、来なければ校長にお教えしようと」
ス「私たちは合流した。あの方は全て知っていらした」
『ハリーも助かったんですね、よかった』
突然出たハリーの名前に、教授は眉を動かした。
そして、言葉を選ぶように重い口を開く。
ス「偉大なるハリー・ポッターが何をしようと我輩の知ったところではないが」
ス「お前は決してそれに関わるな」
こちらを見据えたスネイプ教授の目は、縋るようにも見えた。
『理由も教えてもらえないのに』
私はぼそりと言った。教えてもらえるとも思っていなかった。ところが。
ス「いいだろう」
教授の声は相変わらず無感動だった。けれど、彼にしては珍しく、ぽつりぽつりと長い語りを始めた。
ス「あれは、ハリー・ポッターが生まれた少し後のことだった」
ス「お前も聞いているだろうが、お前は全てを知る者としてここではない場所から.......闇の帝王に呼び寄せられた」
ス「君はその記憶を複製され、しばらく帝王と共に暮らした」
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作者名：コーデリア | 作成日時：2021年12月18日 13時
