賢者の石-What is Love? (ページ3)

今日:13 hit、昨日:3 hit、合計:33,590 hit

pre-two ページ3

ノックの音に薄目を開ける。

椅子に座ったまま朝まで眠っていたらしい私は、何かいつもと違う空気を感じ取った。

なぜだか人の気配を感じない。
孤児院の子供達や職員でないことは明らかだった。

『どうぞ？』

不審に思いながらも、小さく返事をする。

言い終えるか言い終わらないかといううちに、ドアが開けられた。

「A。合っているな？」

『は、はい』

突然の質問に、慌てて答える。伏せていた目を上げて____驚いた。

目の前に立っていた男は、そう。夢の登場人物、セブルス・スネイプその人だったのだ。

思考の追いつかない私は、口をぱくぱくとさせて、なんとか言葉を絞り出した。

『私...』

男は怪訝そうにこちらを見る。

『私...私、あなたを知ってます！』

私の言葉に眉を上げたその人は、皮肉な笑みを浮かべた。

「そうでしょうな」

『え...？』

「君をホグワーツに入学させるため、吾輩は何度もこの孤児院に足を運んだ」

ホグワーツ。実際耳で聞くのは初めてなのに、生まれる前から知っていたように思えるほど懐かしい単語だ。

けれど、私はその言葉に直接答えることなく、口を開いた。

『そうじゃないんです』

『私は...私はあなたの未来を知ってます』

自分でも、なにを口走ったのか分からなかった。
思わず口を押さえる。

ずっと抱えてきた気持ちを、こんな形で口に出してしまうなんて。

失敗した、と思った。

しばらく私を見つめていたその人は、徐に口を開いた。

「気持ちが悪い」

表情の読めない顔で、また言葉を続ける。

「人の未来を知っているなどと、今後冗談でも口に出さないことですな」

私がその言葉を受け取った頃にはすでにローブは翻され、部屋には誰もいなくなっていた。

今、何が起こった？

私は何も理解できていなかった。

これはもしかして、毎日見ている夢の続きなんだろうか。

きっと寝ぼけていたんだ、と椅子から立ち上がった。
ベッドで寝直そう。

ところが、ベッドに腰掛けた途端、また部屋のドアが開いた。

その向こうにいたのは、

『ダンブルドア...先生？』

しまった、私はまた、慌てて口を噤んだ。

ダ「セブルスからの忠告かね？聞き分けがいいのう」

ダンブルドア先生は心底楽しそうに目を細めた。

『あの...私、本当に何が何だか』

ダ「よろしい、説明しましょうぞ」

そう言ったダンブルドアは、部屋の中を見回しているようだった。