賢者の石-What is Love? (ページ16)

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恐る恐る扉を開く。
洗面台にもたれかかるように、ハーマイオニーが泣いていた。
不規則にしゃくりあげる声が部屋中に響いた。

一歩一歩、彼女に近づいていく。

「来ないで！」

こちらを向かずに叫ぶハーマイオニー。洗面台についた両手が震えていた。

『次の授業、始まるよ』

私の声に、彼女は冷静さを取り戻そうとしていた。

グ「ええ...そうね」

目の端に残った涙の跡を拭い、目を瞬かせる。
大きく息を吸って、ハーマイオニーは頭を上げた。

落ち着いたらしい彼女に、私は声をかける。

『今日はちょっとサボらない？』

驚くハーマイオニー。

『二人で話そうよ』

私は遠慮がちに、控えめに微笑んでそう言った。
ハーマイオニーは目を見開いて、迷うような素振りを見せた。

しばらくすると、彼女は決心したのか一つため息をついて、こちらを見据える。

グ「いいわ」

私たちは前を向いて壁に寄りかかり、互いに目を合わせなかった。

『私、ごめんとは言えないよ』

開口一番、私はそう呟いた。
その言葉に、ハーマイオニーは頷く。

よかった、伝わっていたと私は安堵した。
謝ってしまったら、私の方が優れているから傷つけてしまったんだとでも言っているようなものだ。

私と彼女はあくまでライバルで、抜きつ抜かれつこそ私たちの関係にふさわしいんだと思いたかった。それは彼女も同じ、なのかもしれない。

『でも、ロンの言ったことは本当に申し訳ないと思うの』

グ「それはあなたのせいじゃないわ」

彼女は少し笑った。
私も悪かったんだし、と小さく付け加える彼女の目は、まだ少し淋しく見えたけれど。

まあ、その二人のことは二人で解決してもらうとしようか。

ハーマイオニーは目を伏せたままで、もう一度口を開いた。

グ「私、この間少し聞いてしまって」

ああ、あのことか。

グ「マルフォイに...言ってたでしょう？」

『マグルの孤児院で育ったってこと？』

グ「ええ...」

彼女は頷いた。

そんなこと、気にする必要はないのに。
今では噂になって誰もが知っていることだ。

ハーマイオニーは続けた。

グ「あなたも私と同じマグル出身なんだと思ったら、なんだか対抗意識が強くなってしまったのね」

それは仕方ないことだ、と思う。だけどそれは、真実の全てではなかった。

『実はそれ、少しだけ違うんだ』

グ「え？」

驚いた顔を見せる彼女。

これは説明が難しいことだけど、何故だかハーマイオニーには言っておきたい気がした。