賢者の石-What is Love? (ページ14)

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事は妖精の魔法の時間に起きた。

もちろんそれは他のクラスメイトにまで及ぶものではなく、私と彼女の間だけにあった潜在的な何かが爆発した瞬間だった、と言える。

私の側は意識などしていなかった、と言ったら信じてもらえるだろうか。

それはただ、ハーマイオニーはロンに呪文の間違いを指摘していたがために呪文の練習が遅くなり、その隙に私が先生の前で呪文を成功させた、ただそれだけの出来事だった。

私が先か、ハーマイオニーが先か。
いつも起こる競走の中で、今回は私が先だった、それにすぎなかった。

呪文の練習時間、私はネビルと組んだ。
彼はハリーと組みたそうにしていたが仕方がない。

ハーマイオニーはロンと組むことになっていた。

「さあ、今まで練習してきたしなやかな手首の動かし方を思い出して」

酷い呪文を次々繰り出す皆の方向性を正すようにフリットウィック先生は言ったが、それはもしかして逆効果かもしれない。
隣のネビルは、しなやかな動きとは何かを考え始めて固まってしまった。
しなやかさの概念となると流石にちょっと教えるのが難しい、かもしれない。

「さあ、Aさん。どうですか？」

そうこうしているうちに、先生が回ってきてしまった。
ハーマイオニーの様子を伺うと、ちょうどロンに講義を始めたところらしい。とんがった声が聞こえてきた。

仕方がない。私は杖を軽く振り、呪文を唱えた。

『ウィンガーディアムレヴィオーサ』

すると机の上に置かれていた羽は風に吹かれたように舞い上がり、天井近くを飛んだ。

「オーッ、よくできました！」

先生が拍手をして叫んだ。

「皆さん、見てください。Aさんがやりました！」

皆が私の羽を目で追っていた。
杖を下ろすと羽は左右にゆっくり振れながら落下し、ハリーとシェーマスの前にあった机の上に滑り込んだ。

その瞬間、ハーマイオニーが呪文を成功させていたが、誰もそちらを見ていなかった。
得意げな顔をしかけたハーマイオニーはロンの視線を追い、私と視線を合わせた。

本来なら今の感嘆の声は彼女に向けられるはずのものだったのに、そう思うと私は胸が痛くなった。