馳せる想い ページ14
「まず、私達に関係しているスティグマ事件の被害者についてですが。」
高架下の錆びれたバーの中、小さめのテーブル席でそう切り出したAの横には、自身の上司で同じ部署に所属しているはたけカカシ。その正面に、幼馴染で現在は暴力団“暁組“に席を置き、その腕一つで幹部にまで上り詰めたうちはオビトが鎮座している。
二人とも至極真面目な顔で、Aの声に耳を傾ける。
「私の両親、千住マサ、シズカ両名。カカシの父親のはたけサクモ、そして、うちはオビトとカカシの友人の土屋リンで相違ありませんか?」
「あ、ああ、間違いねぇ。つーか……おまえ、俺の名前フルネームで呼び捨てんのやめろ。」
「……なぜ?」
不機嫌そうなオビトの声にAはコテンと小首を傾げた。
その仕草はAの可愛らしい容姿を際立たせ、視線を向けられたオビトは思わず顔を赤らめる。
「んな?!な、何故って!気持ち悪ぃからだバカ!」
「罵倒される理由は理解できませんが、不快であるという点は了承しました。では、うちはオビト、貴方を何と呼べば?」
「はぁ?んなもん、普通に名前で呼べ普通に!」
「分かりました。オビト。」
「っ!!呼び捨てっ!いーけどよっ!」
目の前でいつかの自分とAの様な会話を繰り広げるオビトに対し、カカシは謎の苛つきを覚えつつも「A、良いから続けて。」と脱線した話に終止符を打つ。
「そうですね、すみません。では……私の知っているスティグマ事件の事から詳しくお伝えしていきます。」
そう言ったAは瞳を閉じ、一呼吸整えると、真っ直ぐにカカシとオビトを捉え語り始めた。
恐ろしくも哀しい
未だ鮮明に覚えているAの運命を大きく変えたあの日の記憶―
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テン(プロフ) - 星猫さん» 星猫さん嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)更新が停滞していて申し訳ありません。今後も楽しんで貰えると光栄です♪ (2021年9月27日 21時) (レス) id: 7837fbad55 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月10日 23時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テン | 作成日時:2021年4月20日 0時