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◎となりの坂田。*朝が来るまで愛をする(ねこた) ページ10

、何かを落として起き上がる。

刹那の覚めを一言申せば、最悪。
  吐く息白く、体をどうも動かせないで頭もふらふらと貧血気味中、私は重たい水をまとい海にいた。風が吹く度上半身が呼吸を求め始め、口がはくはく餌を欲しがった魚のように勝手に動き出す。下半身は砂に埋まってしまい感覚もないまま海に捕らわれた。このまま眠ったら今度は起きられないままでいれるのだろうか。

ふとそんな邪心か、好奇心とも取れる考えが思い浮かんで、一瞬前まで起き上がろうとしていた体の機能を停止した。ざばん。波が前に向かって前進していくのと同時に、私の体躯も共に地に向かって降下を始める。ざばん。ざくり。ぼふり。何とも表現できない海の効果音と一緒に、私は海の一部に落ちていく。
 またも砂に下半身が沈み、今度は更に方も砂にはまってしまった。おぼつかない足もここではなんも意味無しに自由にしていられただろうに、波の寄せ返す音だけが周りを包み込んでいる。
(なんで、ここにいるんだろう)

眼を閉じて、真っ暗な視界におはようを告げながら、これまでの行動をゆっくりと逆算した。流れていく砂と貝。周りがどんどん埋まっていく。ミイラを体験しているようでとても面白い。このまま埋もれることに不思議を抱かなければ、私はきっと本当に海の一部になる。それも本望で。私はここにどうにかしてたどり着いたのかもしれない。
きっと、そうなのだ。

私は流れ着いてきた漂流乙女で、名前も知らないままの記憶を失った。もしかしたら宇宙船が墜落しちゃって、どかーんと盛大に爆発して空を飛んで。堕ちたのが海の中。ぎりぎり生きてるように神様が守ってくれてて、だから私の顔には一切の水がないのかも。
 それとも、私は:海に住んでいた人魚で、王子様に惚れて人間になったのかもしれない。悪魔やら魔女だか親だか誰かに人間界に来れるように嘘を吹いて足を手に入れて。王子様が見つけて救ってくれるのを待ってる。そう考えたら、この場所に存在できてるのはとてもロマンチックな出来事。

一体、盲目に恋した私はいくつなんだろう。宇宙少女、元人魚、漂流乙女。鏡が無いから年齢を確認できる術はなかった。どんな選択肢も、どんな人生でも私はきっと楽しかったと思うけれど、思い出そうとする度に頭はズキリ、ズキリ痛み出す。

「嬢ちゃん、掬ってあげようか。」
「おニーさん。この得体の知れない女の子、攫います?」

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しろもん* - すごく良い作品ばかりで、ひたすら感動していました。私は、最後のお話が好みです。でも、本当にどの作品も素晴らしかったです。 (2020年1月21日 23時) (レス) id: 36bbb34c6c (このIDを非表示/違反報告)
アヤノ(プロフ) - 涙がボロボロで止まらなかったです。描写もどのお話も素晴らしく、Bバージョンもとても楽しみです。 (2020年1月19日 0時) (レス) id: b204067585 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者一同 x他4人 | 作者ホームページ:***  
作成日時:2019年12月11日 19時

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