一章 変革のフランス ページ25
鐘の音に顔を上げた。
腰をおろす野原の遠く──丘の上の鐘鳴るチャペルで、今日も誰かにとって忘れられない時間が流れているのが遠目で見えた。タキシードとウェデイングドレスを纏った主役がチャペル前に立っている。参列者たちが、紙吹雪で二人を彩っていた。
遠くから見えたそれが花びらに見えて、菜の花人間になった時の感覚が思い出された。あの濃い匂いと強烈な色合いは、中々の主張だった。今度はわたしが彼女にお見舞いしてみるのもいいかもしれない。名は体を表す、とはきっとこのこと。どんな反応をしてくれるだろう。彼女にしてみれば、わたしも変わらないよと言うかもしれない。花は花でも菜の花は彼女のものだ。
ふと、チャペルを見つめている彼女が言った。
『すごく幸せそうやんね。いつかうちらにもあんな日が来るのかな。うち、愛の宣誓を噛んでしまったらどうしよう。神さまはうちを笑う？ あわわっ』
なにを思ったのか、隣の彼女が慌て始めた。随分と想像力が豊かだ。一人で寸劇を始めた彼女に、こちらは忍び笑いが隠せない。
微かな笑い声が彼女の耳に届いたことで、「いま笑った？ うちは真剣に悩み始めたやんね！」と不服そうな様子になった。言葉通り、真剣な顔が間近にある。わたしの反応はまた 彼女の琴線に触れてしまう。
彼女の将来の婿さんは世界一の幸せ者だ。そう確信できるし断言する。そんな未来が来ても、いくつになっても、ずっと友だちでいたい。そんな気持ちを手先に込めた。
遠くの花嫁さんがブーケトスをしていた。わたしは編み終えた花冠を彼女の頭に乗せた。彼女は目を輝かせて、寸劇を止めた。
『わあ！ これ、うちに？ どうしたらこんなにきれいに編めるの？』
花の気持ちになること。……えっと、つまりね──
補足を入れれば、彼女の顔から疑問符が消えていく。
『じゃあ、うちからのお返しやんねっ。うちも花の気持ちになって編むよ』
一つの花が、彼女の手に拾われる。それは指輪のように、わたしの指に巻かれて。
彼女らしい言葉の綾だ。一本の花じゃ編むって言わないのにね。それがおかしくって、わたしのほっぺたはまた引き上がる。彼女はどこまでも、わたしを笑わせることが得意みたいだ。
涙まで出てきた。ああ、また拗ねられちゃう。
涙を拭った。ゆめは拭われた。
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見卯＊..+*(プロフ) - 宮野冬姫さん» お返事遅れてごめんなさい🙇♀️ ヤム・ハ・メラハの件については修正を入れて姿を消していますが、そのうちまた出てくると思います。関連は薄いですが、その時は葉王に思いを馳せながら読んで頂けると嬉しいです......☺️ (2022年9月7日 20時) (
レス) id: e1b9a46973 (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 今気づいたけど、葉王って……ﾌﾟｰｸｽｸｽ← (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - もちろんイナズマイレブンシリーズについても……グヘヘ(( (2022年8月24日 15時) (レス) @page24 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - 語り合いたいですぅ！！ (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
宮野冬姫(プロフ) - そうだったんですか！マギを知ってるなんてメチャクチャ嬉しい！！！ (2022年8月24日 15時) (レス) id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：見卯＊..+* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/miumiu01/
作成日時：2022年7月19日 20時
