カフェ巡り ページ9
カフェ巡りは僕にとって癒しのひとつ。もちろん、ユキさんも癒しです。
撫でてと言わんばかりの顔で僕に擦り寄ってくるユキさんを抱きしめると、相変わらずもふもふとした触り心地でずっと触っていたくなるような感覚に陥る。
(…もふもふ…かわいい。……そういえば、最近行ってなかったな…颯くんも働いてるみたいだし、様子見に行ってみよう！)
僕のことを師匠師匠と呼び慕ってくれた少年の姿を思い浮かべて笑みが溢れた。
(瞬くん、元気にしてるのかな？)
「でも、その前に…散歩行こっか、ユキさん！」
僕の言葉に返事をするようにいっそう強く鳴いたユキさんは僕の顔をぺろりと舐め上げた。
くぅーん…
そう切なげに鳴くユキさんの姿に僕は苦笑いを浮かべると、見上げてくる目の望むままその体を抱き上げた。
ユキさんは人が苦手だ。散歩に行くと家でのテンションが嘘の様に大人しくなる。僕も無理に直せとは思わないけど、克服できるようにしてあげたい。ユキさんに酷いことをするような人はいないと教えてあげたいけど…。
(まだ、早かったかな……)
ぶるぶると震えているユキさんの姿を目の当たりにして、焦りすぎたなと自嘲する。
小さな白い体を抱きあげると落ち着いたのか震えはなくなっていた。
？「師匠…？」
師匠と呼ばれた気がして振り向くと金髪の少年がこちらを見ていた。僕はその少年に見覚えがあったので笑みを浮かべる。
六「瞬くん…！久しぶりだね」
二「久しぶりっす、師匠！」
瞬くんは僕がよく行っていたカフェの店長の弟さんで勉強などの面倒を見ているうちに師匠と慕われるようになった。素直な性格でかわいいなと思うけど、前に本人に言うと怒られたので多分地雷なんだろう。
二「…あの優さん、ずっと気になってたんすけど、それなんすか？わたあめ？」
瞬くんがそれと指している先を追うと、僕が抱きしめている白いふわふわのかたまりだった。
六「ふっ…これわんちゃんだよ…ふふ、」
二「えっ……、じょ、…冗談っす。ってか、犬飼い始めたんすね」
六「あ〜、冗談ね。そうそう飼い始めたんだー」
僕が笑いながらわんちゃんだと話すと一瞬固まると、目を逸らしながら冗談だと言う。
(そっか、冗談。瞬くんの冗談のセンス相変わらず面白いな)
(あっぶね〜、上手くごまかせた！)
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作者名：ゆきゆき | 作成日時：2023年4月12日 19時
