【戦国BASARA】流離いの料理娘、いざ行かん!参【トリップ】

料理102 ページ7

慶「そうか…」

話し終えたあたしは新しく茶を淹れる
綺麗に茶柱が立っていてもちっとも幸せが来る気なんてしなかった

あたしの性格上の問題かもしれねぇが…

慶次は真剣な面持ちで庭を眺める
暫くそうしてるかと思えば急に膝を叩いて立ち上がる

あたしはビビッて茶を噴出す所だった

慶「だったら潤ちゃんを此処に置こうよ!!」
「………」

良く分かった
慶次の耳は見事な飾りである事を

あたしは慶次の胸倉を思いっ切り掴んだ

「テメェ今までの話聞いてねぇのかそうかなら今直ぐ歯ぁ食い縛れ殴り殺ｓ「待った待った!!」」

何を待てっつー積もりだゴラ
あーアレか遺言か聞き忘れてたな
まぁ聞く気ねぇがな←

慶「落ち着いてAちゃん!取り敢えず俺の話を聞いておくれよ!!」
「遺言なら聞く気ねぇぞ」
慶「殺すの前提かぃ!?」

ったりめーだバーロォ
こんな馬鹿に潤の過去話したなんざあたしの一生の汚点じゃねぇか
そんな奴に生かす意味があるとでも?否ねぇ

「よって殺す」
慶「待ってくれ!これは潤ちゃんの為なんだ!」
「あ゛?」

何が如何潤の為になるって言う気だこのアホは

あたしが拳を握り締めて構えてると慶次は焦りながら答えた

慶「潤ちゃんにとって“家族”が傷なのはよく分かってる。でもそのままで良い筈が無いのは誰よりもAちゃんが分かってるんじゃないのかぃ?」
「……」

慶次の言う事は確かに当たっている
あたしは潤の現状に満足している訳じゃねぇ

潤には幸せな家族を持って欲しい
だからあたしは潤を施設に行く様説得した
何時か潤を引き取ってくれる優しい家族が現れる事を期待して

けど潤は“今のままでいい”の一点張りだった
施設のガキの相手をして、それで満足していた

あたしは何も言えなかった
今を幸せそうに生きている潤を見ているとついこう思っちまう

“潤は今が良いっつってんだから良いじゃねぇか”

“もう潤の人生に如何こう言う必要はねぇだろ”

“潤の人生は潤のモンだ、あたしのモンじゃねぇ”

“あたしはもう、やる事は何もねぇ”

そう思って潤を自由にするとか言って放置したんだ
でないとあたしは潤の人生を決め付けちまう

それが怖かった
潤を束縛するのが親の次はあたしになるんじゃねぇかって
潤をまた無理に笑わせる破目になるんじゃねぇかって
だからもう潤の傷には触らねぇ様にしてきたんだ

それでも、潤に家族が居ればどれだけ良いと思ったか
そんなテメェがあたしは嫌だった

慶「潤ちゃんの事、思ってるんだろう??」

料理103→←料理101

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す