料理115 ページ20
―家康side―
家「そうか……」
ワシは今一度庭を眺める
朝日は少しずつ昇ってくる
ワシは嘗て読んだ軍記物語を思い出し、口にする
家「祇園精舎の鐘の声…諸行無常の響きあり、か」
此の世は無常に出来ている
その理を表す言葉だった
当然でいて、捻じ曲げたく思える悲しき運命…
何時の間にかワシはAに弱音を吐いていた
自然とワシは俯き、Aの目から逃れようとしていた
Aの目は自然すぎる故、今のワシには見れるものではなかった
家「乱世な為、人は知らず知らずの内に変わらないものを探し、縋ろうとしてしまう。ワシもその1人だ…。変わらないものが無ければ、頼るべきものが何も無いと思ってしまうんだ。それが……ワシは恐ろしい」
一度吐いてしまった弱音は止め処なく流れ出る
まるで傷口から流れ出る鮮血の如く
そんな事をAの前でしてしまった自分を責めながらワシは笑ってみせる
家「こんな弱気な大将ではいかんな、矢張り…ワシは駄目だな」
最後の最後まで弱い姿しか見せられなかった事を悔いていると、突然誰かに胸倉を掴まれた
その手の張本人は言わずもがな、Aだった
「変わらねぇモンが無くても、守りてぇモン位はあるだろうが!!」
家「ッ…」
初めて見た、Aの憤怒の瞳
それは轟々と燃える炎の様に熱い
「確かに何かに縋らなきゃやってけねぇ時だってある。それは誰でもそうだ!!当たり前だろ、人間なんだから!!完璧な人間が居るとでも言いてぇのか??だとしたらそいつは人間じゃねぇ、何か大事なモンを失くした只の馬鹿だ!!」
家「A……」
声を荒げてワシを見据えるAの気迫にはワシは圧倒された
強い思いが無ければ成せぬ事だ
「大将だから何だ、弱み見せるなだと??そんな事してりゃ何時かぶっ壊れるぞ!ぶっ壊れたら次は別の人間が同じ様にぶっ壊れる、それを防ぐ為に仲間が居るんじゃねぇのか!!」
家「!!」
Aの言葉がワシの体を震わせる
それ程Aの言の葉は正しく、雄々しい
乱暴に離されたワシはよろめき、何歩か下がる
Aの紅蓮の瞳がワシの腹の底にまで響くような何かを訴える
その訴えは直ぐに口で紡がれる
「戦国最強の本多だって居る、テメェに最後まで付いて行くっつってる家臣も居る、それの何が不満で我慢し続けてんだテメェは」
Aの言葉はワシの中にある柵(シガラミ)を次々と斬り落とす
その切れ味には惚れ惚れとする
家「……ワシ、は…」
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芹 - とても面白いです！これからも頑張ってください！ (2017年11月23日 14時) (
レス) id: 88301bc593 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ - 凄く面白いです！夢主のキャラかっこよくて憧れます！！更新頑張ってください！！応援してます(・∀・) (2016年12月3日 12時) (レス) id: 06f3d584d6 (このIDを非表示/違反報告)
朱羅 - 中間テストあるので暫くコメ出来ないです。ごめんなさいm(_ _)m (2015年9月21日 17時) (レス) id: 9299aeefc2 (このIDを非表示/違反報告)
忍 - 朱羅さん» ありがとう!!そう言って(?)もらえると嬉しいよ!! (2015年9月8日 19時) (レス) id: e35de97a28 (このIDを非表示/違反報告)
朱羅 - 掛け持ち大変そうだね(^_^;)でも忍さんならきっと大丈夫だよ！忙しいかもしれないけど頑張ってね！ (2015年8月31日 20時) (レス) id: 9299aeefc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：忍 | 作成日時：2015年5月6日 9時
