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そう思われる程良い人ではないのに ページ41

静寂に包まれた空間に小学生が1人。最近は、1人で客の居ない喫茶店に行くのが流行りなんだろうか?いや、そんな馬鹿な事があってたまるか。夕方ならまだしも、今は夜だ。

窓の外に目を向けると、反射で見えにくくはあるが黄色い車が止まっているのがわかる。
恐らくビートルだろう。彼にもまだ、夜の街に子供を1人で歩かせないだけの常識は残っているようだ。麻酔や危険な発明品を見る限り、常識人とは言いがたいが……

ああ違う、そんな事はどうでも良い。
どうやら無駄な思考に走ってしまうほど、私は疲れているらしい。

勘弁してくれ。彼は予想していたが、君までくるとは思ってもみなかった。

「少し話があるんだけど。」

赤毛の少女は、震える腕を押さえつけるように握って話を切り出した。
私は薄く微笑んで、彼女の言葉を待つ。

「ごめんなさい、優さん。」

これまた予想外だ。

「あら、何のことかしら?」

私から謝らなければならない事なら沢山思いつくのに、彼女が私に謝ることなんてあっただろうか?
いや、ない。あるはずがない。

「私、優さんを信じることにしたの。」

「警戒心の強い貴女が、組織の人間を信用?面白いわね。」

「テネシーを信じるわけじゃないわ。勘違いしないで。」

そう言って志保ちゃんは、怯えが混じった鋭い視線をこちらに向ける。
本当は、1対1で話すのがまだ怖いのだろう。けれど私から視線を逸らそうとはしない。

それどころか彼女は私に、

「お姉ちゃんを助けてくれて、ありがとう。」

笑みさえ浮かべている。

そんなことされたら、何も言えないじゃないか…


ばれるばれないじゃなくて、敵だとわかっている上で信用するというのか…
そんなの、どうしようもないじゃないか。
彼女からただ信用されるだけならまだしも、無条件の信用は私には重すぎる。

嬉しいと純粋に思うには、私は奪いすぎている。

彼女が店を出たとき、虚しい静寂が訪れた。

1日限りのウエイター→←彼女の事は保留でー江戸川sideー



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89*(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» 星を見守る砂岩様 コメントありがとうございます。此方も返信が遅れて申し訳ありません。お祝いのお言葉が頂けて嬉しいです!これからもどうか応援宜しくお願い致します。 (2019年2月5日 22時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
星を見守る砂岩(プロフ) - 1周年おめでとうございます!!祝うのが遅くなってすみません・・・色々あって...いつも更新楽しみにしてます!!これからも頑張って下さい!応援してます! (2019年2月4日 21時) (レス) id: 5a8ebe94bd (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - シユンさん» シユン様 コメントありがとうございます!更新停滞気味になってしまい申し訳ありません。暫しお待ち頂ければ幸いです。……今日中に出来ればと思っています。 (2019年1月16日 7時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
シユン(プロフ) - 更新まだですか?楽しみにしています! (2019年1月14日 12時) (レス) id: da17fe9160 (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - まいさん» まい様 コメントありがとうございます。面白い、楽しいといった言葉は本当に励みになります。精一杯頑張りたいと思います!これからもこの作品を読んで頂ければ幸いです。 (2019年1月7日 2時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:89* | 作成日時:2018年9月24日 17時

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