【名探偵コナン】不幸後は全て幸福成り得たり5

心苦しいが間違いじゃない ページ39

悪い事をしてしまっただろうか？

コナン君は先程、顔を青くして店を出て行ってしまった。

けれど彼が確信を持ってしまったら、それが組織に知られたら…
彼も私も確実に消される。

言う訳にはいかない。
やっぱり、零の正体がバレるまでとは言わずに、隠せる限り隠した方がいい。

主人公が命を落とす事は無い。けれど、私というイレギュラーが彼のウィークポイントとなるかもしれない。

そもそも此処に主人公補正なんてものはない。まだどこかキャラクターという意識が残っているが、彼らは此処で生きている。

理解している。何度も何度も同じ事を言い聞かせてしまうあたり、理解しているつもり(・・・)なだけなんだろう。

理想としては、全てが終わる直前かその後に正体を明かす。それくらいが丁度いいだろう。

隠し通せるかはわからないが、演技力には自信がある。

現に彼は私が味方なのか敵なのか、決めあぐねているようだ。
私が宮野明美を助けたとしても、彼の味方である根拠にはなり得ない。
だから確信が欲しかった筈だ。

悪いとは思うけれど、やはり間違っているとは思わない。

これで良い。


カランカランと音を立てる入り口の方に目を向けると、買い出しに行っていた梓さんがいた。

「あれ、お客さんいないなんて珍しいですね。」

大きな目を丸くして彼女はそう言った。

「ええ。でも、これから来てくれると思うわ。」

「優さんの予想はよく当たりますから、すぐにでも来ますね。優さんが此処で働くようになってから、お客さん増えてますし…」

「そうなの？」

元々そこそこ繁盛しているイメージがあったから、そんな事思っても見なかった。

「はい！前より男性客が増えましたね。もう1人くらい、このお店で働いてくれる人がいると良いんですけど……」

おっと、これは…
少し心配していたが、安室透もこのお店で働けそうだ。

彼が来る事でバレないように、より一層気をつけなければ…

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