海に続く血痕ー江戸川sideー ページ37
平日の朝。
窓からちらりと見えた赤みがかった茶色に、俺はランドセルを背負っていつもより早く家を出た。
「珍しいな、おめぇがここに居るの。なんかあったのか?」
灰原が此処に来るって事は、俺に用があるのかと思ったが……
様子がおかしい。灰原の視線は俺ではなく、その後ろに注がれている。
後ろって言ったら、探偵事務所しかないけど……
あ、いやもしかして喫茶ポアロか?
灰原が梓さんに用があるはずもないし、あるとすれば…
「優さん探してるのか?」
「ええ。今日はいないみたいね……」
どうやら当たりだったようだ。
でも、どうして優さんを探してるんだ?あんなに怯えていたのに……
彼女は組織内で、残虐非道のテネシーと呼ばれていると語った時の灰原は、かなり青ざめていた。
自ら会いに行くなんて、警戒心の強い灰原が何の事情もなしにする筈がない。
きっと何かがあったんだ。
それも良いことが。
「時間も時間だし、歩きながら話しましょ。」
そう言って灰原は微笑んだ。
「生きてるって、本当なのか!?」
灰原から聞かされた話は、声を荒げずにはいられないほど信じ難いものだった。
「恐らくね。彼女から貰った手紙の筆跡はお姉ちゃんのものだったし、消印は偽造じゃない。写真も加工の形跡は見られなかった。」
「何かの罠って可能性は?」
「わからないわ。筆跡を正確に真似て、写真を気付かれないように偽造。なんてことが完全にないなんて、言いきれないもの……」
調べられることは全てやったんだろう。博士や灰原に気付かれない様に写真を偽造するなんて、相当なプロでも難しいんじゃないか?
なら本物なのか?
優さんは良い人で、灰原の姉である宮野明美を逃がした。それは、優さんが敵ではないかも知れないということだ。それを望んでいた筈なのに、疑念が湧き上がる。
だって、俺は撃たれた宮野明美を見た。出血量だって多かったし、血痕は海に続いていて生存は見込めない。
血痕が海に続いて……?
そうだ。彼女の言葉を聞いた後、救急車を呼びにその場を離れて目を離した隙に、彼女の遺体は消えて血痕だけが残されていた。
あの怪我ではもう無理だと思っていたが、もしジンが急所を外していたら?
あの血痕がカモフラージュで、彼女に協力者がいたら?
まさか、本当に…
生きてるのか?
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89*(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» 星を見守る砂岩様 コメントありがとうございます。此方も返信が遅れて申し訳ありません。お祝いのお言葉が頂けて嬉しいです!これからもどうか応援宜しくお願い致します。 (2019年2月5日 22時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
星を見守る砂岩(プロフ) - 1周年おめでとうございます!!祝うのが遅くなってすみません・・・色々あって...いつも更新楽しみにしてます!!これからも頑張って下さい!応援してます! (2019年2月4日 21時) (レス) id: 5a8ebe94bd (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - シユンさん» シユン様 コメントありがとうございます!更新停滞気味になってしまい申し訳ありません。暫しお待ち頂ければ幸いです。……今日中に出来ればと思っています。 (2019年1月16日 7時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
シユン(プロフ) - 更新まだですか?楽しみにしています! (2019年1月14日 12時) (レス) id: da17fe9160 (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - まいさん» まい様 コメントありがとうございます。面白い、楽しいといった言葉は本当に励みになります。精一杯頑張りたいと思います!これからもこの作品を読んで頂ければ幸いです。 (2019年1月7日 2時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:89* | 作成日時:2018年9月24日 17時