【名探偵コナン】不幸後は全て幸福成り得たり5

ゴリラより強いみたいな……？ ページ31

翌日の朝。
予定していた時刻ピッタリにインターホンが鳴った。足音で鳴らした人物はわかっていたので、すぐに玄関の扉を開ける。

「ちょっとは危機感を持て。俺じゃなかったらどうするんだ。」

呆れと心配が混ざった様な顔をしている零には悪いが、私はそこまで馬鹿ではない。それに弱くない。

「殴る。」

そう答えると私に殴られた人でも想像したのか、零は一瞬同情したかの様な目をしていた。
並大抵の人間なら吹っ飛ぶだろうな…

「例えゴリラを片手で吹っ飛ばした上、ボコボコに出来るとしてもAは自分の性別を考えろ。」

あれ、なんか女として意識というより認識されている事を喜べば良いのか、ゴリラより強いと言われているのを喜べば良いのか、はたまたどちらもを嘆けばいいのか……
というか、なんで例えがゴリラなんだ。

湧き出た疑問をぶつける様に零をみると、僅かに肩を震わせている。

「ちょっと零。」

「わ、悪い。でもなんかこういうの、こういうふざけた会話久しぶりで、なんか良い。」

そう言って微笑む彼に、なんだか彼らと過ごした時間を思い出す。

「……そっか。確かに良いかも。」

零の笑顔が見れるなら、こういうちょっとくだらない時間が沢山あればもっと良いと思う。
それにこの世界には、松田も萩原も諸伏も伊達も生きている。

「潜入が終わったら約束通り集まって、また皆で鍋でもしようか。」

「良いな、楽しみだ。」

その為に今やるべき事を、すぐに片付けてしまおうか。

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