黒の切り札?、青の懐疑 ページ15
組織の連中に銃と上着と手袋を預け、先に裏口から帰らせる。
朝から拭えないある予感がしていた。このまま家に帰ってゆっくりは出来なさそうだ。
このビルの方向に向かってスケボーを走らせる少年の姿が、それを物語っていた。
キョロキョロと鋭い目つきで辺りを見回すコナン君はおそらく黒ずくめの人を探しているのだろう。
まさに私のような…
赤井が一緒だったのだから、このビルから発砲したというのはバレているだろう。
灰原哀と接触した時点で私の正体は知れている。
このビルから私が出て来たとなれば、彼は警戒して問い詰めてくる筈だ。
まぁ問い詰められてもしらを切ればいい。
私がここで発砲した証拠はない。
ただの子供に硝煙反応なんて調べられないだろうし、私の本当の身分を明かせばそんな事なんとでも言える。
彼はそれじゃあ納得しないだろうけど、やらねばならない事が沢山ある。
彼との探り合いは楽しいが、今日は生憎上司に呼ばれているから遅れる訳にはいかない。
ちょっと頼りないけど、切り札を使わせてもらおう。
頼りないけど…
少し肩を落として、とぼとぼと歩く。
瞬間後ろから鋭い声が飛んだ。
「優さん!!」
「あれ、コナン君!こんな所で会うなんて奇遇ね。」
会ったのは必然だろう。それを告げる気は毛頭ないが…
「何、してるの?こんな所で…」
低くなったその声は、とても小学一年生のものとは思えない。
私は胸ポケットに手をいれた。瞬間に警戒心が強くなる。少し苦笑いが溢れそうになるが、押し込めて一枚の写真を取り出した。
「猫探しを依頼されてね……ここらで探していたのだけど、さっき見つかったらしいのよ。だから今は帰ろうと思っている所。」
「へぇ…引き止めてごめんなさい。」
「いいのよ。じゃあねコナン君。あまり遅くまで外に出てちゃダメよ。」
「はーい。またね優さん!」
案外あっさりと引いた彼に少し違和感を感じる。
拍子抜けだ。
やっぱり疑いたくねぇよ……
風に溶けた言葉は私に届く前に消散した。
味方だって信じたいー江戸川sideー→←キール奪還作戦、結果は…
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89*(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» 星を見守る砂岩様 コメントありがとうございます。此方も返信が遅れて申し訳ありません。お祝いのお言葉が頂けて嬉しいです!これからもどうか応援宜しくお願い致します。 (2019年2月5日 22時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
星を見守る砂岩(プロフ) - 1周年おめでとうございます!!祝うのが遅くなってすみません・・・色々あって...いつも更新楽しみにしてます!!これからも頑張って下さい!応援してます! (2019年2月4日 21時) (レス) id: 5a8ebe94bd (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - シユンさん» シユン様 コメントありがとうございます!更新停滞気味になってしまい申し訳ありません。暫しお待ち頂ければ幸いです。……今日中に出来ればと思っています。 (2019年1月16日 7時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
シユン(プロフ) - 更新まだですか?楽しみにしています! (2019年1月14日 12時) (レス) id: da17fe9160 (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - まいさん» まい様 コメントありがとうございます。面白い、楽しいといった言葉は本当に励みになります。精一杯頑張りたいと思います!これからもこの作品を読んで頂ければ幸いです。 (2019年1月7日 2時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:89* | 作成日時:2018年9月24日 17時