【名探偵コナン】不幸後は全て幸福成り得たり5

キール奪還作戦、結果は… ページ14

私が今回任された仕事は、キールを運び出すであろうFBIの車を走行不能にする事だ。

キールの病室を突き止めた上でどう動くかを予想し、ゴーグル型サーモグラフィーを渡してくるあたり主人公程ではないが、ジンもなかなかに頭が切れる。

気休め程度の上着と手袋を身につけ、準備していると私がいる廃ビルに低い声が響いた。

「テネシー、失敗(しくじ)るなよ。」

短くそう言ってライフルバックを投げたのは、相変わらず冷たい目をしたジン。

「わかってるわ。」

後ろからウォッカ、キャンティ、コルンも入ってくる。

これだけ狙撃に特化した人材がいればFBIの車なんて全部止められそうだ。

流石にそこまでやるのは赤井に申し訳ないが、命令されればやるしかない。


ライフルを取り出して狙撃位置につく。確かキールを乗せた車は普通の車だった筈だ。
アンドレ・キャメル捜査官が運転する安全とは言い難い車。

組織(こちら)としては狙いやすくて、非常にありがたい。


暫く待機してると、FBIが動き出した。

すぐにあたりをつけ、キャンティとコルンには違う車を狙って貰う。

万が一応援に行かれると厄介だ。キールが乗っている車を追いかけているベルに害が及ぼうものなら、ボスになんて言われるか…

少し泳がせたあと、私は弾丸を放った。パシュッと軽い音をたてて真っ直ぐ狙い通りにタイヤに当たった。

バランスを崩して路肩に寄せ、止まった車。
不意にドアが開いて中から人が出てきた。

あれはキールだろう。ベルがバイクに彼女を乗せて走るのを見てから、ジンに告げる。

「奪還成功よ。」

ニヤリと口角を上げたのは私の気の所為だろうか？

ずらかるぞと踵を返すジン。

その表情は無に等しかった。

黒の切り札？、青の懐疑→←どちらにせよ成功するだろう

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