まんまるもちもちお月見団子 ページ16
「いやーいい月だねえ」
「ほんとにまるいな」
今日は中秋の名月。つまり月見の日だ。
毎年ひっそり２人でやる月見。ススキや蒲の穂、ホオズキ。そんで、綺麗なピラミッド型に積まれた月見団子。
「……食っていいか」
「もう？ ……ま、いいよ。食べてもらうために作ったしね」
ちょっと待ってて、とAが持ってきたのは、きな粉やら砂糖醤油やら。
「それだけじゃシンプルだから、色々試して見てよ」
「おう。ありがとな」
団子はもっちりと柔らかく、仄かに甘い。それだけでも美味いが、確かに、きな粉なんかをまぶしても美味い。団子がシンプル故に、なんにでも合う。
「美味ぇ」
「ふふ。今年もできたね。お月見」
「……おう」
いつだったか、俺が月見をしたことがないと言ったら、驚いたAがやってくれたんだよな。それからは毎年恒例になっている。
月見自体は収穫を祝うのが本来らしいが、俺にとってはAと2人で静かに過ごせる大切な夜だ。
「……A、雄英、楽しいか」
「ん？ どしたの急に」
「いや、なんとなく」
「んー、もちろん楽しいよ。みんないるし、それに、焦凍もいるしね」
「………」
「照れんな照れんな」
「照れてねえ……ていうかお前、元々ヒーロー志望じゃなかったろ」
前々から、それが不思議だった。
「あはは。まー、ほら、どうせ料亭つぐなら個性のコントロールも学ぼうかと……」
「それなら別に雄英とかヒーロー科とかじゃなくてもよかったろ」
「まあ、そうだけど……それよりさ、焦凍は？」
なんか、はぐらかされた気がする。
「………楽しい、と、思う」
「何それ」
「今まで学校が楽しいとか、わかんなかったからな……あ、でもお前の弁当は楽しみだ」
「ふふっ。ありがと」
Aは笑って、月見団子を1つ口にした。
「ん、おいし。…………あ」
「？」
「………そういえば、お月見団子って嫁入り前の娘が食べちゃいけないとかも言われてたっけ」
それは初耳だ。
「なんでだ？」
「あー……忘れた」
「なんだそれ」
「いや、ほらほらっ、いっぱい食べてよ」
「？」
家に帰って調べてみた。
「〜〜〜〜〜〜〜！！！」
月見団子を嫁入り前の女に食わせない理由は、まるい月とまるい団子が妊娠を連想させるから……らしい。
「……いつか、孕ます」
俺とAの子ども。絶対に可愛いに決まっている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
若葉 - んぅぅぅ！！読んでてニヤニヤしちゃいました…… (2022年8月27日 15時) (
レス) id: 7981b3d9d1 (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - ほっこりしてて幸せなお話しですネ!!読んでてニコニコしました。 (2021年7月25日 22時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - 蒼天さん» レスおそくなりすぎましたっ…！ 轟くんがやっとむくわれました。これから2人はますますイチャイチャしていくと思います笑 コメントありがとうございました！ (2019年3月17日 10時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
蒼天 - SangriAさん» あぁええ話や………尊いｯ…本当に尊い。良かったね轟くぅぅぅうううううんｯ!!!!!また美味しいお話待ってます!!更新頑張ってくださいq(^-^q) (2019年3月1日 7時) (レス) id: 565e35004c (このIDを非表示/違反報告)
SangriA(プロフ) - 図書委員ポスターイラスト担当生徒さん» コメントありがとうございます！夢主ちゃんの料理を食べるには轟くんをなんとかしないとデッドエンド(;∀;) 更新これからもがんばります。ありがとうございます！ (2019年2月24日 10時) (レス) id: f00caaebcb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SangriA | 作成日時：2018年9月16日 18時
