虚月が浮かぶ【悲系/AN,AS】《完結》 (ページ8)

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- きっと儚い程に、綺麗だろう -　*おまけページ8

白鳥を彷彿させる真白の衣装も、無愛想な表情も、黄と白のメッシュがはいったダークブラウンの髪も。仁王立ちする姿でさえ。
何一つ、記憶の中の、冥界の守り人とは変わっていなかった。

「あの……」
「冥土はこの先。真っ直ぐ歩け」

やっぱり、アレは夢？
アノエガオは、嘘？
溢れた記憶に残る、守り人の微笑みは偽りだったのか。

この世界の住人に“感情”を求めてはいけないと分かってはいたが、それでも記憶の片隅で、確かに守り人は笑っていた。
だからこそ、このぶっきらぼうな態度が悲しい。

「何ボーとしてる。さっさといけ」
「……はい」

今になって、零れ出しそうな涙をグッと堪え、言われるがまま冥界へ逝こうとした、そのとき。

「お疲れ様。冥土で蒼月は見れるよ」

後ろを振り向けば、一羽の白鳥が佇んでいた。
純白の翼は漆黒の闇にも混ざらず……。

「覚えて、いたの？」
しかし彼の問に白鳥は答えない。黒い瞳で彼を見つめるだけ。

*

天には蒼白のシリウスにプロキオン。オリオン座の三ツ星も。少し視線をずらせばスピカをはじめとする春の大曲線。
地には天の川。ベガもアルタイルもデネブも。蠍座の心臓も煌めいていた。

銀河の中。黒を塗り潰すかのように幾多の星が、輝いていた。

そして。
眼目には蒼い三日月。
何時か見たソレと変わらない光を放って、静かに世界を照らしていた。

ここが冥界。きっと、そうだろう。
ここで、永遠(とわ)を眠る。
無数の星に囲まれて、全てを終える。

「今までありがとう。
そして、さようなら……」

彼はゆっくり。眸を閉じた。
最期に見たのは、蒼月の儚い光。

*fin*

##

*軽いあとがき

死後がどんな世界か何て、死なないと分からない。
でも、こういう世界だったら、いいな。

…的な感じで書いていました、はい。
星に見守られて永久の眠りにつく。そういうのもいいんじゃね？みたいなテンションでパパッと書き上げました(笑)
多分3時間もかかってないと思います。

大分異色を放つ話だったので、好みは分かれると思いますが、こんな世界観が好きな作者ですので…(笑)

Aさんがちょっと？可哀想な気もしますが、作者的には0,5話しか出てないじいまごの方がカワイソスと思う(笑)

えー、まずは、ここまで読んで下さったAさん。
本当にありがとうございました！
これからも、如月奏音を宜しくお願いします。