46−君に僕が、見えていますか。 ページ46
ジョンインside
「ごめん、先行ってて！」
慌てて踵を返して階段を下りていくAを追いかけて、咄嗟に手を握った。
驚いて振り返るAの目がじっと俺を見つめた。
その黒い瞳にいつも焦がされそうになることを、Aは全然気付いてない。
「ジョンインも忘れ物？」
忘れ物なんてしてないけど、ただ何となく一緒に行きたいってただそれだけ。
少し早歩きで教室へ戻っていくAは、無意識になのかさっきから何度も髪飾りに触れて柔らかく微笑む。
その顔が凄く幸せそうで、その度にルハンの事を思い出しているのかと思うと、今隣に居るのは俺なのにってなんだか凄く虚しい気持ちになった。
横目でAを見ると、ん？と不思議そうに首を傾げられて
何でもないというように首を振ると「変なの」と、くすくすと笑われてしまった。
「あ、ルハン。」
Aが小さい声でルハンの名前を呼ぶ。
Aの視線の先を見ると体育の授業らしいジャージ姿のルハンがこっちへ向かって歩いてくるのが見えた。
ルハンを見つめるAの目は愛おしいものを見る目そのままで、なんだか見ていられなくて目を逸らしてしまった。
正面から歩いてくるのに、お互いずっと見つめ合ったまま声も掛けない2人を疑問に思えば、
すれ違いざまAの頭を触れる程度の強さでぽーんと触ったルハン。
「痛い！」
そう言って振り返ったAは頬をピンク色に染めていて
「ばーか！」と笑うルハンは、Aがしている髪飾りを見つめると、
「その髪飾りいいじゃん。くれた人のセンスが良かったんだな！」茶化すように言った。
髪飾りを触ったAは、嬉しそうに口元を綻ばせた。
「体育サッカーでしょ？頑張んなよ！？」
ファイティン！とポーズを取ると、「当たり前だろ？」とAを指さした。
隣に居る俺の事なんか何も見えてない。
俺なんかここに存在しないみたいな2人だけの世界を、目の前でまざまざと見せつけられて胸がグッと痛んだ。
「A、早くしないと授業遅れる！」
周りなんか見えてないAの手を取ると、まるで2人を引き離すように教室への道を夢中で走った。
好きな人の恋を応援してあげられるほど、俺はまだ大人になってない。
“俺はここに居るよ。俺の事も少しくらいは見て。”
かっこ悪いセリフを心の中で唱えて、今はそんな自分に苦笑いする事しか出来ない。
こんなんじゃAに好きになってもらえるはずなんかないのに。
47−余裕ある素振りは、お手の物。→←45−その嬉しさの向こう側に。
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ちゅちゅ - こりゃやべぇ (2014年8月16日 18時) (
レス) id: 9899225133 (このIDを非表示/違反報告)
alim(プロフ) - MINMINさん» 毎日1話だけの更新で、どれくらい読者様に楽しんでいただけるのか。それを課題に、キュンキュンしてもらいたい気持ちで書いてました。MINMINさんのコメントを読むとじっくりと読んでくれていることが伝わってきて、本当に励みになりました！ありがとうございました！ (2014年7月3日 11時) (レス) id: 5fc8305436 (このIDを非表示/違反報告)
alim(プロフ) - 慧さん» コメントありがとうございます！たくさんキュンキュンしてほしいなぁと思いながら書いてる作品なので、そう言ってもらえて嬉しいです♪ (2014年7月3日 11時) (レス) id: 5fc8305436 (このIDを非表示/違反報告)
MINMIN - 更新ありがとうございます!!私の中でこのお話はﾎﾝﾄにｵｱｼｽで､忙しい日も忙しくない日も同じﾃﾝｼｮﾝにしてくれて､優しく懐かしい気持ちにしてくれて､また次の日の更新が楽しみになる､そんなお話です｡毎日毎日､続きを楽しみにしています (2014年7月2日 16時) (携帯から) (レス) id: b5090dbdaa (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - きゅんきゅんしてますよぉ。 (2014年7月2日 0時) (レス) id: b16b47566a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：alim/セン
x他1人 | 作成日時：2014年5月23日 18時
