34−斜め前に座る彼の名は。 ページ34
「ねぇ、クロン交換しない？」
「え？」
突然の私の言葉に、びっくりしたような表情を浮かべる彼。
高い背に似合わず、子どものようにくるくると変わる表情を見ていると、なんだか面白い。
「私のクロンよりそのクロンのほうが可愛く思えてきちゃった」
「ほんとに？」
「うん、無表情なところがとくに」
そう言うと、自分の鞄についているクロンをじーっと見つめる彼。
その彼の視線はゆっくりと私のクロンへと移動した。
「…いいの？」
彼の方が背が高いはずなのに、上目遣いに見えてしまうのはどうしてだろう。
「うん！じゃあ決まりね？」
そう言いながら鞄に付けていたマスコットを取ると、彼も私と同じようにマスコットを取った。
ふと見えた彼の表情が嬉しそうで、私の頬も緩む。
「はい、じゃあ交換！」
そう言いながらお互いにマスコットを差し出す。
「ん、ありがとう」と彼の声が聞こえてきて、「私こそありがとう」と答えた。
その時突然聞こえてきて、「おい！お前ら何してるんだ！早く教室入れー！」という大きな怒鳴り声が廊下に響いた。
思わずびくぅ！と肩を震わす私たち。
声のした方を見ると、階段の踊り場からとても貫禄のある先生が私たちを見ていて。
ひっ、と小さく声を漏らす。
「早く教室入ろう」
彼のその言葉で、私たちは教室のドアに手をかけた。
「「え？」」
「「１組なの？」」
途端、顔を見合わせた私たちの声が重なる。
怒られていたことも忘れて、クラスが一緒だったことが嬉しくて笑っていたら、後ろからまた「早く入れ！！！」と怒られた。
入学して早々怒られるのは、なんだか嫌じゃなかった。
教室に入ると、すでに席についていた皆の視線が私たちに向けられる。
廊下での怒鳴り声が教室の中にも響いていたのか、皆はクスクスと笑っていた。
先生も「早く席につけ」としか言わなかったから、私たちは一言だけ謝って席に着いた。
びっくりすることに、彼の席は私の席の斜め前で。
手を伸ばしてトントンと肩を軽く叩くと、くるりと振り返る彼。
「ねぇ、名前何ていうの？」
そう言うと、彼は一度だけ俯いたかと思えばまた私の方を見て、「…キムジョンイン」と恥ずかしそうに言った。
「ジョンイン？私はパクAっていうの。これからよろしくね」
そう言って笑えば、ジョンインも目を細めて微笑んだ。
35−迷子の子猫ちゃんは、つぶらな瞳。→←33−どちらが正義か、いざ勝負。
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ちゅちゅ - こりゃやべぇ (2014年8月16日 18時) (
レス) id: 9899225133 (このIDを非表示/違反報告)
alim(プロフ) - MINMINさん» 毎日1話だけの更新で、どれくらい読者様に楽しんでいただけるのか。それを課題に、キュンキュンしてもらいたい気持ちで書いてました。MINMINさんのコメントを読むとじっくりと読んでくれていることが伝わってきて、本当に励みになりました！ありがとうございました！ (2014年7月3日 11時) (レス) id: 5fc8305436 (このIDを非表示/違反報告)
alim(プロフ) - 慧さん» コメントありがとうございます！たくさんキュンキュンしてほしいなぁと思いながら書いてる作品なので、そう言ってもらえて嬉しいです♪ (2014年7月3日 11時) (レス) id: 5fc8305436 (このIDを非表示/違反報告)
MINMIN - 更新ありがとうございます!!私の中でこのお話はﾎﾝﾄにｵｱｼｽで､忙しい日も忙しくない日も同じﾃﾝｼｮﾝにしてくれて､優しく懐かしい気持ちにしてくれて､また次の日の更新が楽しみになる､そんなお話です｡毎日毎日､続きを楽しみにしています (2014年7月2日 16時) (携帯から) (レス) id: b5090dbdaa (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - きゅんきゅんしてますよぉ。 (2014年7月2日 0時) (レス) id: b16b47566a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：alim/セン
x他1人 | 作成日時：2014年5月23日 18時
