33−どちらが正義か、いざ勝負。 ページ33
「待ってって何度も言ってるのに！！」
久々にこんな距離走ったせいで、上がった息が中々落ち着かない。
初めて会った相手だけど、入学初日にこんなに走らされて、少し口調が荒くなってしまった。
「え、何なの？いきなり…俺謝ったよね？」
明らかに不機嫌丸出しと言った顔をしたその男の子に、更にイラッと来た私。
「そうじゃなくて！」
「何？俺急いでんだけど。」
「私だって急いでるよ！」
「だったら何だよ！めんどくせぇな…」
相手の口調が喧嘩腰になる分、自分の口調もとげとげしくなってしまう。
「めんどくせぇって何！？」
「俺急いでるって言ってるじゃん。」
「私は間違えたあんたのせいでここまで走らされたんだけど！？」
「は？」
「鞄！それ、私の！」
「は？俺のだし。ほらクロンついてる。」
肩から下げた鞄のクロンのマスコットを握って、ほらみろ！とでも言うように私へグッと差し出した彼。
「……？？あれ？こんな顔してたっけコイツ…」
「だから…それ、私の。」
「いや、だってクロンが、ヌナが朝勝手につけて、俺嫌だって言ったのに。」
握ったクロンをじっと見つめながらもごもごと喋る彼に、
私の持っていた彼の鞄をグッと差し出した。
「あれ？クロン…」
差し出された鞄についているクロンも握って、両手でクロンを見比べ始めた。
「それ、私の鞄だから返して！！」
強い口調でそう言って、睨み付けるように彼の目を見つめると、
やっと事態を飲み込んだらしい彼が自分の肩からそっと私の鞄を外して私の方へゆっくりと差し出した。
「…マジで、ごめん…」
「疲れた。」
怒りが収まらない私に、至極申し訳なさそうな視線を送る彼。
さっきまでの怒りのオーラは既にどっかへ行っていて、代わりに全身から申し訳なさが溢れ出していた。
「そっちのクロンのが、可愛いな。」
ぽつりと彼が呟いた。
ちょっと…今、それ言うタイミング？
そう思ったらいきなりおかしくなって、思わずぶっ！と吹きだしてしまった。
「あははは！いきなり何それ！」
「だって俺のクロン無表情…」
自分の鞄についてるクロンをにぎにぎっとすると私のクロンを見つめた。
「いいでしょ？可愛いでしょ？」
「うん。可愛い。」
そう言って恥ずかしそうに笑った彼の顔をマジマジと見てみると、今更ながら凄いイケメン！
「クロン、好きなの？」
そう問いかけると、照れくさそうに頷いた。
34−斜め前に座る彼の名は。→←32−笑う恐竜、笑わぬ恐竜。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1794人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゅちゅ - こりゃやべぇ (2014年8月16日 18時) (
レス) id: 9899225133 (このIDを非表示/違反報告)
alim(プロフ) - MINMINさん» 毎日1話だけの更新で、どれくらい読者様に楽しんでいただけるのか。それを課題に、キュンキュンしてもらいたい気持ちで書いてました。MINMINさんのコメントを読むとじっくりと読んでくれていることが伝わってきて、本当に励みになりました！ありがとうございました！ (2014年7月3日 11時) (レス) id: 5fc8305436 (このIDを非表示/違反報告)
alim(プロフ) - 慧さん» コメントありがとうございます！たくさんキュンキュンしてほしいなぁと思いながら書いてる作品なので、そう言ってもらえて嬉しいです♪ (2014年7月3日 11時) (レス) id: 5fc8305436 (このIDを非表示/違反報告)
MINMIN - 更新ありがとうございます!!私の中でこのお話はﾎﾝﾄにｵｱｼｽで､忙しい日も忙しくない日も同じﾃﾝｼｮﾝにしてくれて､優しく懐かしい気持ちにしてくれて､また次の日の更新が楽しみになる､そんなお話です｡毎日毎日､続きを楽しみにしています (2014年7月2日 16時) (携帯から) (レス) id: b5090dbdaa (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - きゅんきゅんしてますよぉ。 (2014年7月2日 0時) (レス) id: b16b47566a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：alim/セン
x他1人 | 作成日時：2014年5月23日 18時
