31−桜散る春の出会い。 ページ31
満開だった桜がひらひらと散り始めるこの季節。
暖かくてふんわりとした風が吹く中、私は真新しい制服に身を包んで家を出た。
そう、今日は高校の入学式だ。
ピカピカのローファーに、綺麗な鞄。
うちの高校は鞄が指定されていて、皆同じ。
だから、自分のものだとわかるように鞄にクロンのマスコットをつけた。
ポロロのほうが人気だけど、私はクロンの方が好き。
高校に入学したということが嬉しくて、まだ中に何も入っていない鞄をゆさゆさと揺らすと、クロンのマスコットも一緒に揺れた。
ルハンも私と一緒の高校で、家から出てきた私を見たと同時に「おっそい！」と言ってきた。
私が遅いんじゃない。
ルハンが早いだけだ。
学校に着くと、クラスが貼り出されている掲示板があって、その周りには人が集まっていた。
「ねぇ、人多すぎるよ…」なんて言いながらも、私たちも掲示板を見ようとその人だかりに近付く。
ルハンの同じクラスになっていますように…。
しかし数分後、そんな私の願いも虚しく、私とルハンは見事にクラスが離れてしまった。
…私神様に嫌われているような気がする。
それでも幸いなことに、ルハンとは隣のクラスだった。
ルハンと二人、靴を履きかえて校舎の中に入る。
足音や話し声が混じって聞こえてくる。
そんなざわざわとした雰囲気に緊張してしまう。
そんな私に気が付いたのか、「A、緊張してんの？」と足を止めて言うルハン。
「ん、ちょっとだけ。お水買ってくるから先に行ってて」
そう言うと、ルハンはただ「わかった」とだけ言って、先に教室に向かった。
そんなルハンの背中を見て、私も自販機に行こうとくるりと振り返る。
…あれ？自販機ってどこにあるんだっけ…？
初めての高校で、右も左もわからない今。
ようやく自販機に着いたのは、式が始まるちょうど５分前で。
遅れるー！なんて心の中で叫びながら、ガコン、と音をたてて出てきたペットボトルに手を伸ばす。
さっきまで緊張してドクドクいっていた私の心臓は、いつの間にか式に遅れるんじゃないかという焦りに変わっていた。
ペットボトルの蓋を開けもしないまま鞄の中に突っ込むと、私はもと来た道を走り出した。
32−笑う恐竜、笑わぬ恐竜。→←30−白と黒と、好きとスキ。
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ちゅちゅ - こりゃやべぇ (2014年8月16日 18時) (
レス) id: 9899225133 (このIDを非表示/違反報告)
alim(プロフ) - MINMINさん» 毎日1話だけの更新で、どれくらい読者様に楽しんでいただけるのか。それを課題に、キュンキュンしてもらいたい気持ちで書いてました。MINMINさんのコメントを読むとじっくりと読んでくれていることが伝わってきて、本当に励みになりました！ありがとうございました！ (2014年7月3日 11時) (レス) id: 5fc8305436 (このIDを非表示/違反報告)
alim(プロフ) - 慧さん» コメントありがとうございます！たくさんキュンキュンしてほしいなぁと思いながら書いてる作品なので、そう言ってもらえて嬉しいです♪ (2014年7月3日 11時) (レス) id: 5fc8305436 (このIDを非表示/違反報告)
MINMIN - 更新ありがとうございます!!私の中でこのお話はﾎﾝﾄにｵｱｼｽで､忙しい日も忙しくない日も同じﾃﾝｼｮﾝにしてくれて､優しく懐かしい気持ちにしてくれて､また次の日の更新が楽しみになる､そんなお話です｡毎日毎日､続きを楽しみにしています (2014年7月2日 16時) (携帯から) (レス) id: b5090dbdaa (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - きゅんきゅんしてますよぉ。 (2014年7月2日 0時) (レス) id: b16b47566a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：alim/セン
x他1人 | 作成日時：2014年5月23日 18時
