13−ふわっと香る同じ匂い。 ページ13
「おじゃましまーす！」
ルハンの家に入ってそう言うと、リビングから「Aちゃん来たのー？いらっしゃーい！」とルハンのお母さんの声が聞こえてくる。
親同士の仲が良くて、昔からお母さんが用事があるからルハンの家に行くと言ったら、私もお母さんについて一緒に行っていた。
高校生になって私もルハンも一人でお互いの家に行き来することが多くなったけど、時間を気にしないとこは今も変わらない。
「こんばんはー！」と挨拶をすると、ルハンのあとを追って階段を上がった。
ルハンの部屋に入ると、ルハンと同じ匂いがふわっと香った。
部屋の真ん中に置いてある小さめのテーブルには勉強道具が広げられていて、床に座って見てみると白紙状態。
…これだよね？
どんな問題なのかなーってプリントを見ると、ベッドに腰掛けていたルハンの「お前さ、」という声が聞こえてきた。
振り返って見てみると、ルハンは私の後ろにいて
「先に髪の毛乾かせよ」と言いながら、腕を伸ばして私の頭を触っては、くるくると濡れた髪の毛で遊んでいる。
髪の毛を通して伝わるルハンの指先がくすぐったく感じて、心臓がドキドキと音を立てた。
そんな気持ちを隠すように「面倒くさいからいいよー。」と言えば、聞こえてきたのは「お前なあ！」という、さっきよりも少し大きくなったルハンの声。
「髪の毛から滴落ちたら俺のプリントが濡れるんだよ！」
そう言いながら私の髪の毛をペシッとするルハン。
もう私のドキドキ返せ！
「ルハンがそんなことするから滴落ちちゃうんでしょ！何もしなかったら大丈夫なのに！」
「あーもう！ほんっと女らしくない！」
呆れるようにそう言うルハンにふいと顔を背けて、私は机の上のプリントに視線を移す。
「ちょっと待ってて」という声が聞こえたかと思うと、ぽんっと頭に手を置かれた。
え？なんて困惑している間にも、ルハンはドアの方へ歩いていく。
ルハンが触れたところに手をやれば、さっきの手の少しの重みを思い出して、ぼっと体が熱くなった。
・
それからすぐに、誰かが階段をのぼって上がってくる音が聞こえてきた。
ドアに視線を向けるとドライヤーを片手に持ったルハンと目が合う。
「ルハン、私乾かすのは帰ってからでいいよ？」
そう言った私に、ルハンは小さくため息をつきながら
「だから風邪引くっつってんだろ」とコンセントにプラグを差し込んでいた。
…さっきは俺のプリントが濡れるって言ってたくせに…
14−温かい風と触れる指先。→←12−下手な言い訳と、大切な時間。
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ちゅちゅ - こりゃやべぇ (2014年8月16日 18時) (
レス) id: 9899225133 (このIDを非表示/違反報告)
alim(プロフ) - MINMINさん» 毎日1話だけの更新で、どれくらい読者様に楽しんでいただけるのか。それを課題に、キュンキュンしてもらいたい気持ちで書いてました。MINMINさんのコメントを読むとじっくりと読んでくれていることが伝わってきて、本当に励みになりました！ありがとうございました！ (2014年7月3日 11時) (レス) id: 5fc8305436 (このIDを非表示/違反報告)
alim(プロフ) - 慧さん» コメントありがとうございます！たくさんキュンキュンしてほしいなぁと思いながら書いてる作品なので、そう言ってもらえて嬉しいです♪ (2014年7月3日 11時) (レス) id: 5fc8305436 (このIDを非表示/違反報告)
MINMIN - 更新ありがとうございます!!私の中でこのお話はﾎﾝﾄにｵｱｼｽで､忙しい日も忙しくない日も同じﾃﾝｼｮﾝにしてくれて､優しく懐かしい気持ちにしてくれて､また次の日の更新が楽しみになる､そんなお話です｡毎日毎日､続きを楽しみにしています (2014年7月2日 16時) (携帯から) (レス) id: b5090dbdaa (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - きゅんきゅんしてますよぉ。 (2014年7月2日 0時) (レス) id: b16b47566a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：alim/セン
x他1人 | 作成日時：2014年5月23日 18時
