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Chapter 43 【雪那々】 ページ44

よっぴ〜さんside
ーーー

目の前の男が、鋸を右手に持ちゆっくりと近づいてくる。


殺される。


そうわかっていても、体が動かない。


「や、めろ…」


腹をかなり強く蹴られたのであろうともさんが、苦しそうに言う。


しかしそんな言葉が男の心を動かすはずもなく、無視して俺の目の前に立つ。


そしてニヤリと笑って、鋸を持ち上げた。


鋸の歯が蝋燭の薄明かりに照らされ、きらりと光る。


「さぁて。まずはどこを切ろうっかな〜。」


明るい声で言う男の顔は、本当に冷ややかで、冷酷なものだった。


感情なんて一切ない。そんな言葉が合いそうな目。


「い…やだ…」


小さく呟いた。


こんなところで死ぬのは…




嫌だ。


きっとこのまま殺されても、ここにいる俺を抜いた3人も殺される。


なら少しでも時間稼ぎをして、脱出の方法を探し出した方がいいのではないか。


俺は…まだやれる。


今まで亡くなった仲間たちのためにも。


ここにいるともさん、watoさん、クミさんのためにも。




俺は縮めていた足を思いっきり動かし、男のすねを蹴った。


「うっ…」


男はそのまま床に倒れこんだ。
それを狙った俺は男に飛びかかり、手足を抑える。


「くそっ…放せ!」


そんな男の言葉に無視し、ともさんとwatoさんと、まだ目を覚ましていないクミさんを見回して言った。


「行ってください。俺が…




時間を作りますから。

脱出の方法を探ってください。」


「でも…とりちゃ…」


「行ってください。」


さっきよりも声を荒げて言った。


すると、ともさんも察したのかスッと立ち上がって、クミさんを背負い、無言でドアの前へ進んだ。




そして振り返りざまに言ったんだ。



涙を流しながら。



「鳥ちゃん。





元気でね。」


すごく寂しくて、儚いその言葉に、俺も泣きそうになったけどそれをこらえて優しく微笑んだ。


「…watoさんも、行ってください。」


俺はもう一度、呆然とするwatoさんに言った。


すると、肩をビクッと揺らして俯き、数秒たってからやっと立ち上がる。


そして、ドアの前に立つともさんの横で同じように立ち止まり、微笑んでくれた。


俺はその微笑みに微笑みで返し、"最期"に言った。


「必ず、生きてここを出てください。」と。


それを聞いたともさんたちは振り返ることなくドアを出た。




その直後、部屋中に乾いた音とグシャと言う音が鳴り響いた____





ーーー
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雑談できん…

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雪那々(プロフ) - ハカタさん» すみません…博が直してくれたそうです…ご指摘ありがとうございます。 (2018年9月9日 12時) (レス) id: 6aeb77ce64 (このIDを非表示/違反報告)
博@(プロフ) - ハカタさん» ハカタさんいつもありがとうございます!そーですね、時間かけて良いの書こうと思います(ノ´∀`*) (2018年8月26日 9時) (レス) id: d43769dbf0 (このIDを非表示/違反報告)
ハカタ(プロフ) - 作品に時間をかけるというのはとってもいいことだと思います!私なんて15分ぐらいで考えてまた最終的に書き直すというアホみたいなことしてますから...更新楽しみに待ってます! (2018年8月23日 20時) (レス) id: 05436ab3ab (このIDを非表示/違反報告)
博@(プロフ) - 雪那々さん» そしてお前は何を言っとるんや……w (2018年8月23日 16時) (レス) id: d43769dbf0 (このIDを非表示/違反報告)
博@(プロフ) - もちづき@さん» うええええええ!!!??ありがとうごぜえやす(っ'ヮ'c)ウゥッヒョオアアァ (2018年8月23日 16時) (レス) id: d43769dbf0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:博@・雪那々 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=conect1016  
作成日時:2018年8月9日 13時

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