milk&honey -11 ページ11
side:y
---
『……………ねえ、』
『………ん?』
『大谷くんって、彼女いるの?』
---
両親は、《デート》で朝から不在。
Aは基本インドアらしく、お気に入りのチェアでタブレットをいじっている。
俺の学校はテスト期間で部活も休みなので、
軽くランニングと筋トレをしてから、家に戻ってきた。
冷蔵庫から水を取り出そうとしたとき、Aから話しかけられる。
カウンターキッチン越しに俺が見えたのだろう。
『…………知らん。本人に聞けば』
ていうか。
…………塾の帰りに、一緒に仲良く帰っとったやん。
俺の高校から程近いところにある塾にAが行き始めたのは親から聞いていた。
学校の帰り道、塾の前を通りかかった時。
塾から出て別々に歩いていた男女が、
すこし離れたところで突然並んで歩き始めたのだ。
男は身長がやたら高く、すぐ翔平だと気づいた。
……んで、翔平に前のめりで話しかけられている女子が、Aだとわかった。
なんつーか。
俺は、あの日。
まじでどうかしていた。
目の前で繰り広げられている光景は、
どうあがいても、
つきあっている もしくは つきあう手前のようなソレ。
距離近いっつーの。
Aが、翔平のものになるとか。
考えただけで、頭おかしくなりそうだった。
---
あのあとの俺は、どうやって自分の中で折り合いをつけたのかわからない。
とにかく。
ふたりとの接触を最小限にして。
ふたりのことを考えないように、した。
『え、………仲いいんじゃないの』
急に俺に向き直り、真剣な顔をする。
『聞いたところで、………』
………俺は、何も知らない。
翔平とそういう話をしたことが、そもそもない。
『………………由伸は?』
人の話に被せてきたと思ったら、
一体なんなんだ。
『………は?』
『…………彼女とか、いるの』
どういうつもりなのかわからない。
俺はその質問には答えず。
自分がもう馬鹿げたことを考えないよう。
あえて自らを痛めつけることを言った。
『………翔平は、嘘はつかない。自信持てば』
《……俺は。
A以外につきあいたいひとなんて、いない》
Aのしろい頬がふわりとあかくなるのを見て。
そんなこと、言えるはずもなかった。
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←milk&honey -10
254人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:345 | 作成日時:2024年2月6日 22時