週末はきみと一緒に【#18】 (ページ2)

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milk&honey -02 ページ2

父親と待ち合わせてふたりで店の中へ入る。

あたたかみのある、落ち着く照明のお店。
きっと我が父のチョイスではなく、お相手の方が予約してくれたのだろう。
センスが、いい。

なんだかわくわくしながら、案内された席に向かうと。

品のある女性と。
若い、男性がひとり。

………おそらく。わたしと同じ高校生、と思われた。

もしかしなくとも……お相手の子供？
そう思っていると。

『由伸くん、きょうはありがとね！』

父親の声にびくりとする。
すでに《彼》と顔見知りらしい。

『娘のAです。
A、彼女が山本さん。
隣が息子さんの由伸くんだよ』

Aです、よろしくお願いします。
と頭を下げる。

『Aさん、会えてうれしい。きょうは息子共々、お願いしますね』

山本さんは、とても物腰の柔らかい方で。
素敵な方だな、と思った。

…………ただ。
その《息子》は、めちゃくちゃ愛想がない、というか。
わたしは挨拶したのに、
頭ちょろっと下げただけで、言葉を発していない。

無表情で。
なに考えてんのか、読めない。
………てゆか。すごく、不機嫌じゃない？このひと。
いまため息ついたし。

この息子とうまくやれるのかな、と思っていたそのとき。
いきなり耳に入ってきた言葉。

『…………え、中学生かと思った』
　

『由伸！失礼でしょ。謝りなさい』

あ、もう山本さんにフォローされてる時点で確定だよね。わたしのこと、ね。
………あー、気にしてんのに。
失礼すぎる。
思っても言わんでしょ、初対面で。
てかちょっと笑ってんのよ。半笑いよ。

『由伸と同い年だけど、Aちゃんの方が誕生日早いんだよね？』

話をどうにか変えようと慌てたふうの山本さんが父親に話を振る。
そうそう、と父親が盛り上げようとしていたが。

《ヤツ》はへー、と心底どうでもよさそうな顔をする。

ここまで思ったことを言ったり顔に出したりする人って、
意外といないよなぁと思いながら。

この男相手に、わたしのほうが先輩じゃん、ざまあみろ。と。
ろくでもないことを言ってやりたくなった。