60:高橋巡査部長の調査 ページ11
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「先輩って志摩さんと付き合い長いんですよね?」
『・・・何、急に』
密行中の車内で俺が突然投げかけた質問に、ハンドルを握る先輩は反射的に眉をひそめた
朝からずっと気になって考えていたけど答えなんて出るはずもなく、結局昼の今になって本人に聞く事にした
「いや、だって一緒に住むくらいだからよっぽど深い仲なんすよね?」
『深い仲って・・・もっと言い方無いのかよ』
「いつ知り合ったんですか?」
『え、あ―・・・私が交機に居た頃だから―・・・』
「5年前っすね。」
『よく知ってんな・・・その頃志摩さんは試験場に配属されてて、そこで知り合った』
「飲みに行ったりとかしてたんすか?」
『んー・・・まぁ、、、何。どしたの。』
赤信号で停止したタイミングで、少し怪訝な表情をした先輩と目が合う
流石にあからさますぎて、プライベートを嗅ぎまわろうとしてるのがバレたか・・・?
『志摩さんと飲みに行きたいの?』
あ、大丈夫だ。先輩のアホ(鈍感)なとこ出てる。
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―――――――
―――
『あ、』
午前の密行を終え分駐に戻って報告書を書いていると、向いのデスクで先輩が何かを思い出したように声を漏らした
「どうかしました?」
『いや、午後から雨降るっぽいんだよね・・・』
「あ―・・・結構降るみたいですね」
『小窓閉め忘れてる気がしてきた・・・』
引っ越しの際に先輩の部屋を少し見たが、小窓はベッドの真横に配置していたので雨が入ると高確率で布団が濡れる
やっちゃったなぁ・・・と項垂れる先輩にドンマイっす。とだけ声を掛けて作業を再開した時、背後から控え目に先輩を呼ぶ声が聞こえた
「A」
『あ、お疲れ様です。まだ帰ってなかったんですか?』
名前を呼ばれた先輩は反射的に立ち上がり、訪問者の元へ駆け寄る
「伊吹の報告書で時間食った」
『ご苦労様です』
俺は書き終えた報告書を手に、先輩の背後に歩み寄り会釈をする
「お疲れ様です。志摩さん。」
志「お疲れ」
『あ、書き終わった?』
「はい。確認お願いします」
書類を差し出し、ダブルチェックを依頼すると先輩は受け取ってその場で目を通してくれる
その様子を見た志摩さんが少し微笑みながら
志「Aも先輩してんだな」
と呟いた
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ななサマ - 最高!騙されちゃう伊吹さん面白いし、私まで騙されちゃいました! (2022年5月3日 22時) (レス) @page18 id: 3d9458003a (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ - とてもおもしろいです^^振り回される伊吹がかわいい(笑)また更新楽しみにしてます! (2021年3月29日 22時) (レス) id: 170640e9dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狐 | 作成日時:2020年12月12日 0時