心を乱す警察犬

48：誰？ ページ49

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志「おい、A」



『あ、お疲れ様です』



壁のポスターをボーっと眺めていたAを呼ぶと驚いたように振り返ってヘラ〜ッと笑う





志「1人か？」



『高橋は今引継ぎしてます』



志「お前は何してんだ？」



『あ〜、待機してます』



志「････そうか」




特に用がある訳でも無さそうなのに高橋と共に引継ぎへ行かない事に違和感を感じながらも、どこか言いにくそうにしているAの視線が一瞬俺の後ろに向いた為、とくに深堀りはしなかった






志「そうだ、お前コレどうにかしろ」




声を掛けた本題である喚く犬を親指で示すとAはチラッと俺の後ろへ視線を移す




『････今日はやけに静かなんですね、どうかしました？』




志「････ここに来るまではうるさかったんだ。おい、伊吹。静かに出来るならもっと早くそうしてろよ」




「････俺別にうるさくないもん」




志「･････ハァ･･･」




『え、伊吹さん本当にどうしたんですか？しんどいとか？』





あまりにも大人しい伊吹にAも心配になり近寄って見上げた






「････っそんな可愛い顔してもダメだからね！」




『･････ん？何の話ですか？』





身長差故に生じたAの上目遣いに、思わずほだされそうになった伊吹は慌てて不機嫌アピールをし始めたがAは理由が分からず振り返って俺に説明してくれと目で訴えかけてくる



そこへ




高「･････何やってるんですか」





俺の後ろからAの相棒である高橋が お疲れ様です。と会釈してAと伊吹に怪訝な顔を向ける






『あ、終わった？』



高「はい。今日もしつこかったですよあの人」



『そっかぁ、悪いね。』



高「いや、いいんすけどこの状況は････？」



『分かんない』



志「犬が拗ねてるだけだよ」



高「あ―、成程」



『え、何でアンタが納得できんの』



高「勘」





目の前で高橋とAが息の合った会話を繰り広げ初めて、益々伊吹の機嫌が悪くなるのを感じた





すると







「糸巻さん！ここに居たんだね！」




嬉しそうにAを呼ぶ声が廊下に響き視線を向ける






『････あぁ、、お疲れ様です。鮫島さん』



「最近見かけないからどうしたのかと心配してたんだ、元気そうで良かったよ」



伊吹と同じくらいの長身でスーツを着こなした40歳前後の男性は、俺達が見えていないのかと思う程Aに夢中で話しかけていた





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