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志「あの時、Aが狙撃する直前に少年が動いて、それを見た犯人が反射的に発砲してしまった。」
『・・・・・そんなのは後付けです』
志「だがお前も知ってるように、被害者の傷は背後から撃たれた物だ。正面に居たお前は、正確に犯人の肩を撃ち抜いていた。」
『・・・私が直接撃ったかどうかなんてどうだっていいんです・・・救えなかったのは紛れもない事実だから』
志「確かに救えなかった事実は変わらない。だが、お前には少年が動くかなんて予測できる訳がない。
仮にあの時お前が1秒早く撃っていたら、
ササクラが予定通り人質全員を射殺していた。全滅だ。」
『・・・っ、そんな訳・・・!!』
志「ササクラが6年前の事件を自白した。さっき隊長から連絡が入ったんだ。」
『・・・・・今更何で自白なんか・・・』
志「隊長が、6年前との関係性を調べ直す様、捜一に進言した」
『・・・・・』
彼女は長い間、一人でどれだけ苦しんだのだろう
何百回、何万回自分を責めたのだろう
知らなかった犯人達の計画を知り
仮にあの時少年を救えていたとしても、最終的に全員殺され
誰一人救えなかったかもしれないという事実
なら自分はどうすれば良かった?
どうすれば全員を救えた?
どれだけ考えても答えに辿り着かず、Aの視線は宙を彷徨った
『どう転んでも私は・・・・・全員を救う事なんて出来なかったんですね・・・・・』
最初から自分には何も出来なかったんだ
もしあの場に居たのが他の隊員だったら全員を救う事が出来たかもしれない
突きつけられた事実に、彼女の目から一筋の涙が流れた
『・・・っ』
志摩は茫然と立ち尽くすAをきつく抱きしめる
志「お前は大勢の命を救った。この先も被害者の事は覚えていろ。
でも俺たちの仕事は、出来なかった事を数えるんじゃなくて、出来た事を数える。だろ?」
いつかの陣馬班長の言葉を思い出す
『・・・・・出来た・・・事・・・』
志「お前は、10人の未来を守った。それは揺るぎない事実だ。」
『・・・・未来・・・・・』
志摩の言葉を聞き、静かに涙を流し続けるA
1人じゃない、安心しろ。・・・そう思いを込めて、
これまで1人で戦ってきた愛しい存在を
志摩は力いっぱい抱きしめた
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狐(プロフ) - 佐原さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます\(^^)/楽しんで頂けるよう頑張ります! (2020年8月30日 21時) (レス) id: a6b410efd0 (このIDを非表示/違反報告)
佐原 - 面白くて前編から一気に読みました!主人公ちゃんの過去フラグ……続きがとても楽しみです! (2020年8月30日 13時) (レス) id: f7166a3ef5 (このIDを非表示/違反報告)
con(プロフ) - 瑠璃さん» ありがとうございます!修正しました! (2020年8月27日 16時) (レス) id: 984b2836e2 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - 11の次、14になってます! (2020年8月27日 14時) (レス) id: 9070337cc8 (このIDを非表示/違反報告)
con(プロフ) - hinano92さん» ありがとうございます(^^♪とても励みになります!今後も楽しんで頂けるよう頑張ります! (2020年8月25日 19時) (レス) id: 984b2836e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狐 | 作成日時:2020年8月25日 13時