短・中 編２

主人公が犬になるお話３ ページ8

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―ピンポーン





伊「鳴らしても出れなくね？」


志「一応礼儀として鳴らしとくべきだろ」





インターホンを押したが当然それに応答出来る筈も無く、2人が目を合わせていると





―カリカリカリカリ






伊「ん、何かカリカリ聞こえるよ」



志「････Aか？」



伊「ん―････あ！キュンキュン言ってる！」





扉に近づき耳を澄ませた伊吹が中から聞こえた声に反応した





志「ペット飼ってると思われたらマズイから吠えれないってとこだろうな･･･A―、志摩だ。入るぞ？」



この状況で鳴き声は出せないと判断出来るあたり、意外と冷静なんじゃないかと少し驚きながらも扉に手を掛け開く




―ガチャッ







志「あ。」


伊「お邪魔しま―･････あ。」





扉を開いた志摩が先に声を漏らし、その後ろから続いた伊吹も目の前の光景に思わず相棒と同じ反応が出る









クゥ〜ン＜志摩さん、伊吹さん････＞





2人の前には、玄関でお出迎えをするかのようにお座りをした真っ白なポメラニアンが居た








志「･･･Aか？」



大の大人が真顔でポメラニアンに話かける様はさぞ怪しい事だろう、と他人事の様に考えながらも恐る恐る尋ねた志摩にポメラニアンは深く何度も頷いて見せた




伊「ホントにAちゃんなんだ････」




クゥ〜ン＜とりあえず入って下さい＞



唖然とする伊吹を他所に、リビングへと歩きだすポメラニアン･･･Aに続いて2人も靴を脱ぎ部屋へと入る








―――――･･･






志「いつから犬に？」



＜おきたら＞



志「そうか、大変だったろ」





リビングでラグの上に座る志摩と伊吹の前には、スマホへ必死に文字を入力するAの姿




伊「この光景凄いよね、犬がスマホ使いこなしてんだよ」



志「まぁ･･･冷静に見るとな」







＜どうしましよう＞





伊「ん―････どうしよう」



志「次朝目が覚めた時には人間に戻ってる可能性もあるかもしれないな」







経験談とは口が裂けても言えない2人は、誤魔化しながらもAの不安を無くそうと必死だった







志「朝から何も食べてないんじゃないか？色々買ってきたからとりあえず一旦食おうか」



伊「そだね！喉乾いてない？お水入れてくるね！」




台所借りるよ―！と言い消えて行った伊吹だったが、数秒後見覚えのある容器を持って戻ってきた








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