短・中 編２

特等席１（志摩） ページ15

※サイコっぽい志摩です









勤務を終えて足早に向かった先は一軒の古い喫茶店






24時間の長い仕事を終えた後に、ここのコーヒーを飲んで一息ついてから帰宅して睡眠を取るのが私の非番の習慣となっていた





この時間、店内は常連のおじさんが1人いるだけ






顔馴染みとなった私にマスターが、お疲れ様。と労いの言葉と共に注文したコーヒーとサンドウィッチを持って来てくれる




いつもの指定席




一番奥のボックス席で、出入り口に背を向けて座る



読書をしたり、ボーっと外を眺めたり、携帯をいじったり



過ごし方は日によって違うけど、私はここで過ごす当番終わりの朝が結構好きだった









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「お疲れ」








この人が店に来るまでは。








『･･････お疲れ様です、志摩さん』









――――――――･･･








目の前には、イヤな笑顔を浮かべコーヒーを飲む男






一般的には“素敵な笑顔”なんだろうけど、私にとってはイヤな笑顔にしか見えない







「今日も清々しい程に、嫌そうな顔してんなぁ」







嫌悪感丸出しの私に対して何故か嬉しそうなこの男


第4機動捜査隊屈指の頭脳派 志摩一未









彼はある日突然、私のお気に入り空間を侵略してきた







最初は偶然かのように声を掛けられ、「前、いいか？」と断れない空気感で私が座るボックス席へとやってきた







彼は自分よりも3年先輩ではあるが、特に親しい訳でもなく


404が、私の所属する3機捜の応援で来ていた時に何度か会った程度の関係性








本当にただそれだけ




個人的な会話をした覚えもないし、名前を名乗った記憶も無い






なのに






「椎名さんは今日非番だったの？」





と、当たり前のように話しかけてきた






特段話す事もないので、はい。とだけ答えて会話を終了させそれ以降は特に何も言葉を交わす事なく、お互いに読書をして1時間程して帰った






そしてその日から彼は私が非番のタイミングで、ほぼ毎回現れるようになった





何度か来ない日もあったけど、そんな日は必ずマスターから注文していないプリンを出された







自分が来れない日は前もってマスターにそうするように頼んでいるのだとすぐに察しは付いて、後日「いらない」と言ったが当の本人は「何の事だ？」とイヤな笑みを浮かべながら否定したのでそれ以降は何も言わないようにした





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