短・中 編２

藍ちゃんは勝てません２ ページ2

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先日約束したデートの日



待ち合わせ場所に現れたAに伊吹は釘付けになっていた





『･･･どうしました？』




心配そうに伊吹を覗き込むAは、機捜での機能性重視なカジュアルスポーティーな恰好とは違いシンプルな紺色のオーバーシャツに白いスキニー、紺色のスニーカー、髪を低い位置で無造作に纏めて細い金縁フレームのレンズが六角形の眼鏡を掛けている





普段から好みではあったが、今日のAの私服は伊吹のストライクゾーンに突き刺さりまくっていた





「あっ、いや、何食べたい？」



伊吹が動揺を隠しながら慌てて取り繕ったもののAは少し怪訝な表情を浮かべる







『ん―･･･』




「和食の気分？洋食？Aちゃん何が好き？」









・









『伊吹さんが好き』









「･･････えっ？」



慌ててAを見ると、数日前の自分のように相手の動揺が分かっていると言わんばかりの表情で微笑んでいた




その笑顔は、いつもの無邪気な可愛らしい笑顔ではなく


見た事のない大人な色気のある表情で伊吹は鼓動が早まるのを感じた









可愛いだけじゃない、別の一面を初めて見て胸の高鳴りが続く伊吹にAは








『顔、真っ赤で可愛い』






伊吹の手の甲に自分の甲をチョンと当ててクスッと笑い歩き始めた









「･････そんなんズルいじゃん、、」







慌ててAを追いかけた伊吹は、迷わずAの小さな手を取り、自分の手で包んだ








―――――――――――――――

――――――――――

―――――･･･









『おはようございます！』



「おはよ〜。今日も可愛いね！」



『伊吹さんはいつ見てもカッコイイですね』



「Aちゃん見て今日も一日頑張れそう！」



『私も伊吹さん見て頑張りますね！』






またいつものやり取りだと周りがスルーする中


歩き出したAの手がチョンと自分の手に触れた伊吹が慌てて視線を向けると、一瞬こちらを向いてあの色気の漂う微笑みを投げかけてデスクへと歩いて行った








・








「････だからズルイんだってば///」









策士で可愛いAちゃんにはまだまだ勝てない伊吹藍なのだった




-END-


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