キミのトリコ！２

迷惑と決意 ページ41

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夜８時過ぎ。家主が不在のお家でまったりしとったら、「週刊文春オンラインに記事が載ってしまうから、一度事務所に来て」とマネージャーさんからLINEがあり、急いでタクシーに乗り込んだ。

到着してすぐマネージャーさんに、「本当に付き合ってるの？」と事実確認を取られる。
記事には「お泊まり撮！」とか「コムドットゆうたと交際中」とか書いてあって、お寿司に行った日の写真が載っていた。


「女の子の家に泊まってるもんだと思ってたから、びっくりした」
『…すみません、黙ってて』

腕組みして深刻そうな顔のマネージャーさんに、悪いことはしてないとはいえ縮こまってしまう。


「アイドルじゃないしプライベートのことは好きにしてくれていいんだけど、心臓に悪いからこういうことはなるべく報告して」

その言葉に頷き、『でも、付き合ってません』と答えると「付き合ってないのに家に泊まってる方が問題ね」って返ってくる。確かにその通りだ。


「ウチの事務所は揉み消せるほど大きくないし、記事に出るのはもう免れないから」と言われ、事の詳細を全て話すと、マネージャーさんはいつの間にか柔らかい表情になって、むしろ私の初めての恋バナにワクワクし始めた。


「じゃあ何？向こうはAのこと好きなんじゃない」
『でも、付き合ってとかそういうのは言われてないし…』
「一番楽しい時期ね」
『すご、恋愛スペシャリストみたい』
「伊達に長生きしてないって」
『これ、記事の弁明とかした方が良いですか？ツイッターとか、動画とかで』

「まだ部屋に戻れるまでは１週間以上あるし、とりあえず、今後もこのまま部屋に泊めてもらうのかをゆうたくんと話し合って。もし部屋を出るならセキュリティ良いホテルも手配できるし、最悪私の家に泊まってもらってもいいから」

『……はい。』

「マネージャーとしては、堂々と交際宣言を出してもらっちゃった方が助かるけど。付き合ってませんなんて言ったら、じゃあAは彼氏でもない男の家に泊まるような女なのかってなっちゃうし。せっかくクリーンなイメージなのに勿体ないでしょ」

『……そうですね』

「プライベートのことはAに任せるし、好きにしてくれていいけど、あなたにはファンが沢山いるってことを忘れないで。観てもらえなくなったら終わりだからね」


マネージャーさんの言う通りだ。
私は動画を観てくれている人に生かされてるんだから、失望させるようなことは絶対にしちゃいけない。


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