キミのトリコ！２

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マネージャーさんから「着いたよ」ってメッセージが届いて、優太くんにお礼を言って出ようとすると、「気をつけてね」って手を振ってくれた。


車のドアを閉める前にもう一度『本当にありがとうね』って伝える。
前髪の隙間から覗く瞳と視線が交わった。


「もし俺ん家来るんだったら連絡ちょうだい。今日たぶん撮影20時には終わるから」
『うん、行かなくても連絡するね！』

これだけ良くしてもらっとるわけやし、どう対応することになったか報告する義務があると思ってそう言ったんやけど、「Aちゃん魔性やな〜」って笑われてしまった。別にそんなつもりやないのに！


何度目かわからないお礼を言って、マンション前に停まってもらっているマネージャーさんの待っている車へ向かう。

途中で一度振り返ると、優太くんも窓開けてこっちを見とって、手を振ったら振り返してくれた。



制服デートの撮影をした時の優太くんの言葉がふと思い出される。



───「もし俺がデートできたら、そんなんもしかしたらAちゃんが俺のこと好きになっちゃうかもしれないだろ」


あの時は特に気になる存在という訳でもなかったのに、ちょっと弱っとる時に助けてもらって、髪を乾かしてくれて、抱きしめられて、あんな風に優しい言葉をかけられただけで、優太くんで頭がいっぱいになってしまいそうな自分がおる。


……簡単すぎる？


やけど、恋愛なんて久しくしとらんかったけん、どういうものか忘れとったけど、そういえばこんな感じやったかもしれん。


マネージャーさんと合流して早々、「今日やたらダボダボね、打ち合わせなのに」ってちょっと怒られる。優太くんの服ですとは言えんかった。

何があったのか説明すると、さすが敏腕マネージャー、事態を一瞬で把握して、あちこちに電話をかけまくって、盗撮や盗聴を発見してくれる業者さんを手配してくれた。


『めっちゃ仕事早い』
「でも調査に来れるのが来週末だって。2週間弱あるけど、どうしようか？ホテル取ってあげられるけど……なんかホテルも不安だね」
『……あの、友達が、泊めてくれるって子がおって…ホテルより安心かなって』
「…うん、その方がいいかも。荷物とかは？私が取って持って行こうか？」
『…今日、打ち合わせ終わったら一緒に来てくれますか？』
「うん、そうね。その友達の家まで送ろうか？」
『…や！迎えに来てくれるけん、来るまで車で待たせてくれたら…』
「そうね、外で待つのは危ないし」


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