キミのトリコ！２

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慣れない部屋で寝たからなのか、自然に目が覚めてしまった。

起きたらもう優太くんに抱きしめられていなくて、ちょっとだけ残念な気持ちになる。


昨晩、もうこれ以上何か来たら嫌だからって電源を落としていたスマホを起動し直して時間を確認すると、まだ朝の8時を回ったところだった。
今日は夕方に打ち合わせがあるだけだから、まだまだ余裕がある。

予想通り、不在着信が23件来ていた。
あの手紙の送り主だ。粘着質すぎやろ。


隣で寝息を立てている優太くんの方に身体を向け、彼の寝顔を見つめると、このストーカーもあまり怖くなく思えた。

優太くんがおってくれると心強いなぁ…


そう思いながら、彼の頬を軽く撫でる。
……わ、無意識で触ってしまった。


よく眠っとるなあ、って思った矢先、優太くんの重たい瞼が薄〜く開いた。起こしちゃった？


「…おはよ」


寝起きの掠れた小さな声。
寝起きに誰かのおはようを聞いたのは久しぶりな気がする。


『おはよ、起こしちゃったね』
「………さわってた？今」
『…え？』
「…さわってた？俺のこと」
『………さわってないよ？』

寝とる間にほっぺた触ってたなんて、恥ずかしくてカミングアウトしきらん。

それに、確か昨日の夜、私この人に告白みたいなこと言われたんやった…なのに、ほっぺたとか触っとったら、勘違いさせてしまう…勘違いというか……勘違いやないかもしれんけど…


「……嘘だな」


もう完全に目が覚めた様子の優太くん。
寝とる時でも勘が鋭いん？


「こうやってしてたでしょ」


優太くんの左手が私の右頬に触れて、さっき私が優太くんにしとったみたいに軽く撫でられる。


『………。』
「無言はしてたって言ってんのと一緒よ？」
『……じゃあ、しとらん』
「じゃあしてたんだ」

裏の裏をかかれるっていうか、言葉の揚げ足を取られるっていうか。とにかく見透かされとる。


『ちょっと、無意識に下心やった』

どうバレとるなら、と素直に白状する。
たぶんさっきのは、我ながら下心やった。
すやすや寝とるのがなんだか可愛くて、赤ちゃんみたいで、気づいたら触ってしまってたんやもん。



「……興奮するから、それ以上しゃべんないで」


お喋り禁止令を出されて、また昨日の夜みたいに抱き締められた。


『…ちょ、優太くん』
「喋んないでって言ったやん」


お喋り禁止令を出されて、大人しく収まっているしかない。また、どちらのかわからない鼓動が聞こえる。たぶん、………私や。

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