キミのトリコ！２

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〆も完食し日本酒で完全に出来上がった私達は、かろうじて使った食器を水に浸けて、歯を磨いた。

昨日と違って押し問答もなく二人ともベッドに倒れ込んで、まるで毎日そうやって寝とるみたいに抱きしめられた。頭くらくらする。

宣言通り、優太くんの匂いを胸いっぱいに嗅ぐと、息遣いでバレたのか「めっちゃ嗅いでんな」って頭上から笑い声混じりの低い声が降ってくる。


『さっき宣言したやん、2週間毎日匂い嗅ぐねって』
「じゃあ俺もそうするわ」


優太くんの鼻が、私の頭に擦り付けられる。

「なんで同じシャンプーなのにこんな違うんだろ」
『私家から自分の持ってきたもん、』
「持ってきたの？俺ん家の合わなかった？」
『そういう訳じゃなくって、2週間ずっと使わせてもらうん申し訳ないし』
「全然いーのに。だからこんな違う匂いなんだ」


鼻ぐりぐり。
やめてやめてやめて！もうそれ髪の匂いっていうか地肌やから！地肌の匂いは自信ないけん！


優太くんの両手は、私の腰回りをぐるっと囲んで、セルフ恋人繋ぎみたいな形でガッツリホールドされとる。
地肌の匂い嗅がれるのは恥ずかしいけん抜け出したいのに、しっかり抑え込まれとってびくともせん。細いのに意外に力が強い。やっぱり男の子なんやなぁ……



「Aちゃん、怒った方がいいと思うけど」
『…何に？』
「ストーカーが現れたおかげでAちゃん抱き締めて寝れるやんって喜んでる男に」
『…怒らんよそんなんで』
「何ならストーカーありがとうって思ってる正直」

不謹慎なんやろうけど、そう言ってくれることが本当に嬉しくて、ドキドキする。



『……私もちょっと思っとる』


そう答えると優太くんは、腰に回してる腕をぎゅっと引き寄せて、私の身体をさらに自分に密着させた。まだ頭の匂いを嗅がれとるというのに、ますます抜け出せん。



「マジ良い夢見れそう、ていうかこの状況自体が夢みたいだわ」
『もしかしたら夢かも』
「それ困るわ、ちょっと確認させて」


ホールドされとった腕が外れて、また頬を触られた。


「うん。ぷにぷに。夢じゃないわ」
『自分のほっぺつねるのが相場やけどな』
「大飛みたいなツッコミやめて、アイツの夢見そう」
『良い夢やん』
「これ以上ないくらいの悪夢だわ」


目を瞑ったまま会話していたら、気付いたら瞼がどんどん重くなっていって、どちらからともなく会話が終わり、夢の狭間へ。

こうして優太くんと私の、期間限定の同居生活がスタートした。



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