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ブランコページ49

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横へ流れる景色を見てるふりをしながら、窓に映るAちゃんを見た。携帯を触ってた指が止まって、頭が上がる。そして窓に向いたから、急いで視線を外の景色に戻した。

「私次で乗り換えだ」
「…本当に送らなくて大丈夫？」
「大丈夫。すぐだから」
「ほんとに？」
「大丈夫だって。あ、じゃあ降りるね。明日仕事頑張れ」
「つら。そんなこと言うな」
「ふふ、頑張れ！今日は本当にありがと！またね！」

人混みに紛れて手を振って下りていく。ドアが閉まり、車内からホームを歩く人を見ていたら、この視線に気づいたのか最後の最後にこっちを向いて笑顔を向けてくれた。

最寄り駅に着いて家に向かって歩き出す。週末の夜道は人通りが少ない。街灯も切れてる暗い道に、白く強烈に光る自販機。炭酸でも買おうかなんて思ったのにそれだけ売り切れ。出し掛けた財布を閉まったら、携帯が鳴った。

……あーーーー。
あんまり嬉しくて、忘れてた。

セフンに、何て言えばいいんだ。
少し躊躇いつつ、通話ボタンを押した。

「…おう。どした？」
『今日は、ありがとうございました。Aさんから聞いた』
「え…？なんの話？」
『急遽予定蹴ってAさんと行ってくれて』
「あー。いや、それは全然。てか、ごめん」
『…何か？』
「ん？だから、その…俺が行って」

家の方向にむけていた足先を翻す。とぼとぼとさっき通りすぎた公園へ行きながら電話をした。

『…別に、友達なんだし。Aさんが１人にならなければいい』
「まあ、そだな」

確かに友達だけど、俺の中ではもう違う。

『…なんか暗いね。楽しくなかった？』
「いや？めっちゃ楽しかったわー。マジ惜しいことしたなお前」
『俺だって行きたかった！』
「だよな。お疲れ」

誰もいない公園のブランコに腰かけた。ただ座るだけのつもりだったのに自然と漕いでしまうからブランコって不思議だ。

『…Aさん』
「……ん？」
『俺と行けなくなって…寂しそうだった？』

ぴたっと踵を地面につけて動きを止めた。

───ベッキョンと見に来られてよかった
───私と二人じゃ嫌？…かな
───かもしんない！

もちろん残念だったと思う。だけど思い出すのは、俺にとって嬉しい言葉とか笑顔とかあの雰囲気とかそんなのばっかり。

「…うん。めっちゃ残念がってた」

でもそんなこと言えるわけない。電話越しにフッと笑う声が聞こえて、これからどうしようかと足元の小石を蹴った。